離婚で後悔しないために知っておきたい7つのこと

離婚を考えたときに考えていただきたいことが、大きく分けて7つあります。

以下では、考えていただきたい7つのことの概略を説明します。
さらに詳しく知りたい方は、「男女問題コラム目次」から、該当箇所をご覧ください。

【その1】このような理由で離婚できますか?
【その2】離婚慰謝料の相場はいくらですか?
【その3】財産分与の基準はどうなっていますか?
【その4】親権はどうやって決めるのですか?
【その5】養育費ってどれくらいですか?
【その6】婚姻費用ってなんですか?
【その7】子供との面会はどうすればいいんですか?
 

【その1】このような理由で離婚できますか?

1 離婚理由の基礎知識

離婚には、
・当事者の話し合いで決める「協議離婚」
・裁判所に間に入ってもらって話し合う「調停離婚」
・裁判官が決定する「裁判離婚」

があります(厳密には「審判離婚」というものもありますが、滅多にありません)。

「協議離婚」と「調停離婚」の場合は、双方が離婚に合意していれば離婚できますが、「裁判離婚」については、離婚理由が制限されています(民法770条1項)。

具体的には、
① 不貞行為
② 悪意の遺棄
③ 3年以上の生死不明
④ 強度の精神病
⑤ 婚姻を継続しがたい重大な事由
となっています。

このうち、問題となることが多い、①不貞行為と⑤婚姻を継続しがたい重大な事由について、以下で説明します。
 

2 不貞行為について

⑴ 不貞行為ってなんですか?

不貞行為は、いわゆる浮気のことですが、法律上は、一般に考えられている浮気より狭く、配偶者のある者が、自由な意思に基づいて配偶者以外のものと性的関係を持つことをいいます。

「配偶者のある者」ですので、結婚前に浮気をしていたことは不貞行為には当たりません。
ただし、事情によっては「婚姻を継続しがたい重大な事由」に当たる可能性はあります。

また、「性的関係」にあることが必要なので、キスをしたりする程度では不貞行為にはなりませんし、同性愛の場合も不貞にはなりません。 ただし、こちらも「婚姻を継続しがたい重大な事由」に当たる可能性はあります。

上記の定義を充たせばいいので、風俗などでプロを相手として性的関係を持った場合でも、不貞行為になります。

⑵ 不貞行為の証拠はどんなものが必要ですか?

不貞行為の証拠としては、ラブホテルに入っていく写真やビデオ、クレジットカードの利用明細、録音データ、メール、携帯電話の履歴、などがあります。

最近では、twitterやfacebookに不用意に書き込んでいたという事例もありますので、これらが分かれば確認してください。

写真やビデオは、探偵を雇ったり、知人にたのんだりして収集し、録音データは、車のシート下にICレコーダーを仕込んだりする方法があります。

ただし、相手の家に侵入してビデオを仕掛けるなどの方法は、違法に集めた証拠として裁判で採用してもらえない場合があるので注意してください。

証明の程度については、やや厳しく、ラブホテルに入った写真であれば、不貞行為が認められやすいですが、相手のマンションに入っていった写真だけだと認められないことがあります。

もっとも、不貞行為そのものが認定されなくても、親密な関係にあるということまでいえれば、「婚姻を継続しがたい事由」となる場合があります。

 

3 婚姻を継続しがたい重大な事由ってなんですか?

結婚生活がダメになってしまう理由を一定の型にはめるのは限界があるため、「これ以上結婚生活は無理でしょう。」という場合を、裁判官が判断することにしたのがこの項目です。

この項目に該当するという主張の中で多いものを説明していきますが、以下に限られるわけではありません。

⑴ 性格の不一致

「性格が合わないから離婚したいんです。」と裁判で主張しても認められる場合は、ほとんどありません。

裁判例では、性格の不一致を直接的な理由とするのではなく、性格の不一致の結果、長期間の別居にいたったなどの具体的な不都合が生じたことを理由に、「婚姻を継続しがたい事由」を判断しています。

⑵ 長期間の別居

長期間の別居も「婚姻を継続しがたい事由」となることがあります。

どれくらいの期間別居すれば、「婚姻を継続しがたい事由」があると認められるかについては、別居に至る経緯や、子供がいるかなどの事情を総合して判断するため、明確な期間はありませんが、5年が一応の目安になると思われます。

⑶ 親族との不仲(嫁姑問題など)

嫁姑問題を離婚理由として認めた裁判例もありますが、直接的な理由は、夫が親族との不仲の解消に協力しないとか、嫁いびりに加担しているといったものになっています。

⑷ 暴行・虐待

暴行・虐待が離婚理由になるかは、暴行に至る原因や頻度、けがの程度などを総合して決めることになります。

夫婦げんかの際に軽く暴力をふるった程度では、離婚理由にならないことがあります。

ただし、普段から暴力をふるわれていると、感覚がマヒし、異常な行為にもかかわらず、「これくらいの暴力はどこの夫婦でもある。」と信じているケースがあるので、少しでも変だと思ったらご相談ください。

なお、暴行・虐待は、女性から男性に向けられた場合も、離婚理由として認められます。

⑸ 勤労意欲の欠如・経済的DVなど

全く働く意欲がない、家庭にお金を入れない、借金癖などを離婚理由として認めた裁判例があります。

 

【その2】離婚慰謝料の相場はいくらですか?

離婚慰謝料・不貞慰謝料の相場」のページで説明した通り、離婚に至る事情を総合的に考慮して決定されますが、平均金額は約153万円(不貞の場合223万円)となっています。

コラム「離婚慰謝料の具体例」もご参照ください。

 

【その3】財産分与の基準はどうなっていますか?

財産分与というと、夫婦の財産を半分に分けるというというイメージを持っている方も多いと思います。

これは、①清算的財産分与といわれるもので、裁判所は、ほかに②扶養的財産分与と③慰謝料的財産分与を認めています。

 ① 清算的財産分与

清算的財産分与については、結婚後に作った財産について、お互いの貢献度に応じて分けようというもので、近年は2分の1ずつとするのが一般的です。

しかし、収入が、本人の特別な能力によると認められる場合には、2分の1よりも認められる金額が少なくなる場合もあります。

 

 ② 扶養的財産分与

たとえば、夫が会社員で妻が専業主婦で持病があり、すぐに就職するのが難しい場合、妻は、離婚した瞬間から収入がなくなってしまい、生活に困窮することになります。
このような場合、当面の生活費を加算する形で財産分与額を決めることがあります。
これが扶養的財産分与です。

これは、必ず加算されるわけではなく、請求を受ける側に扶養能力があり、請求する側に当面の生活費を保証しなければ困るような事情が必要です。

 

 ③ 慰謝料的財産分与

裁判所は、財産分与しか請求していない場合でも、離婚慰謝料相当額を加えた金額の財産分与を認めることがあります。

逆に、協議離婚をして財産分与についてのみ合意書を作成していた場合でも、その財産分与が多額で慰謝料の趣旨を含むと考えられる場合には、その合意とは別に離婚慰謝料を求めることはできません。

具体的な財産ごとの問題については、男女問題コラム目次の該当箇所をご参照ください。

【その4】親権ってどうやって決めるのですか?

裁判例では、子供の健全な成長の観点から、様々な事情が考慮されますが、以下のような事情を重視しているものが多いようです。
① 子供の世話をしていたという実績
② 子供の意思(10歳くらいから)
③ 母性優先(乳幼児の場合)

逆に、以下のような事情は、あまり重視していないようです。
① 経済的能力
② 離婚の責任がどちらにあるか

さらに詳しくお知りになりたい方は、コラム「親権者をどちらのするかの基準」もご参照ください。

【その5】養育費ってどれくらいですか?

1 養育費の金額

養育費については、請求者の年収と支払い義務を負う者の年収、子供の人数、子供の年齢などを考慮して決定されます。

具体的金額は、裁判所が公表している算定表(養育費算定表)に双方の年収を当てはめ、具体的な事情の応じて修正することになります。

例えば、子供が私立学校に通っていたりする場合、両親の学歴やこれまでの教育方針、支払い義務者の経済事情によっては、その分を加算されることがあります。

なお、相手の収入が2000万円を超える場合の算定表はなく、裁判例もまちまちです。

詳しくお知りになりたい方は、コラム「養育費の計算」、「養育費は何歳まで?」、「私立学校に通う場合の養育費」、「相手の年収が2000万円以上の場合の養育費」もご参照ください。

2 養育費は何歳まで支払われるの?

養育費が何歳まで支払われるかですが、多くの場合は20歳までです。

しかし、両親の教育方針や学歴、子供の意思を考慮して、大学卒業年齢である22歳となったあとの最初の3月までとされることがあります。

また、子供が病気療養や障害を有するため就職が困難な場合に、20歳以降の養育費を認めている裁判例もあります。

 

【その6】婚姻費用って何ですか?

婚姻費用とは、夫婦として生活するのに必要な費用で、別居している場合にも相手に相当額の分担を求めることが可能です。

婚姻費用の分担額についても裁判所が算定表を作成しています。

(養育費の算定表の後半が婚姻費用の算定表になっています)

算定表を見比べればわかるように、婚姻費用の分担額のほうが、養育費よりも高額になっています。

詳細な計算方法については、コラム「婚姻費用の計算」をご参照ください。

 

【その7】子供との面会はどうすればいいんですか?

1 面接交渉(面会交流)を認める基準

親権を持たない方の親が、子供に会ったり、電話や手紙でやり取りすることを面接交渉(面会交流)といいます。

面接交渉(面会交流)について、裁判例では、以下のような事情を考慮しています。

① 子供の意思や年齢
② 面接交渉(面会交流)を求める親の親としての適格性
③ 暴力(DV)の有無
④ 父母の対立の程度と子供の生活への影響

 

2 面接交渉(面会交流)の方法と頻度

面接交渉(面会交流)は、原則として直接の面会ですが、上記のような事情を考慮して、直接の面会が不適切と判断されることもあります。
その場合も、まったく交流が認められなくなるのではなく、電話や手紙、写真などによる間接的な方法で、なるべく親子の関係を保証する方向で決められます。

面接交渉(面会交流)の頻度については、月に1回とすることが多いようです。
しかし、こちらも上記のような事情を考慮して、増やしたり減らしたりされます。

 

3 祖父母、兄弟姉妹の面接交渉(面会交流)

父母以外との面接交渉(面会交流)について、残念ながら日本では、ほとんど認められていません。
ただし、祖父母や兄弟姉妹が親代わりとして育ててきたような場合には認められる可能性があります。
 
*「男女問題コラム」で、さらに詳細な情報も提供しております。  
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