養育費相場の計算

2015-02-25

離婚のご相談の際に「養育費の相場はいくらくらいですか?」と質問されることがあります。

 

養育費の相場については、現在では裁判所が公表している「養育費算定表」が利用されるのが一般的です。

 

ですから、基本的には「養育費算定表」を見ていただければ、おおよその養育費の金額が分かるのですが、同表には当てはまらないような場合もあります。

 

このような場合には、養育費算定表の元になっている「標準算定式」というものを利用して、養育費の金額を算定することになります。
以下では、「養育費算定表」の見方と、同表に当てはまらない場合の標準算定式を使った計算について説明します。

 

なお、ここで説明するのは、一般的な場合であって、お子さんが私立学校に通っていたり、多額の治療費がかかる持病があるなどの場合は、この金額から修正されます。

修正が必要な場合については、【男女問題コラム目次】をご参照ください。

 

*平成28年11月15日に、弁護士会が新しい養育費算定表に関する提言を発表しました。

現時点では、弁護士会の意見にすぎず、裁判所が採用するとはいえませんが、裁判所が公表している養育費算定表より高額の養育費が認められる表となっています。

養育費を請求する側としては、弁護士会が公表した新養育費算定表の金額を主張してもいいでしょう。

新養育費算定表はこちらからどうぞ。

 

1 養育費算定表から養育費を算出する
⑴ 会社員・公務員の場合の表の見方
⑵ 自営業の場合の表の見方
⑶ 会社員+自営業の場合の表の見方

2 標準算定式を使って計算する
⑴ 標準算定式
⑵ 基礎収入とは
⑶ 生活費指数とは
⑷ 計算してみよう

 

 

1 養育費算定表から養育費を算出する

⑴ 会社員・公務員の場合の表の見方

上記の通り、離婚の際の養育費について、現在の調停・裁判では、「養育費算定表」を使い金額を算定します。

 

まずは、養育費算定表の右上を見て、子どもたちの人数と年齢に応じた表を探します。

 

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子供の人数・年齢に対応した表を探す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

養育費算定表は、縦軸に、養育費を支払う側(義務者)の収入(年収)、横軸に養育費を請求する側(権利者)の収入(年収)が記載されており、両者の交わるところに記載されている金額が、1か月の養育費の金額となります。

 

会社員・公務員の場合は、グラフの外側に記載されている金額に当てはめます。
このときの収入(年収)は、手取り額ではなく、税金を引かれる前の総支給額で計算します。
源泉徴収票だと「支払金額」と書いてあるところ、課税証明書だと「給与収入」と書いてあるところの金額です。

 

たとえば、10歳の子供が1人で、義務者の年収600万円、権利者の年収125万円の場合、下図のように月4~6万円が、他に特別な事情がない場合の養育費の相場となります。

 

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交差するところが毎月の養育費

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで、転職したり、昇給・減給があった場合など、前年の源泉徴収票や課税証明書と収入が大きく違う場合は問題となります。

 

この場合の対応は、裁判官が具体的事情によって判断しますが、雇用契約書や、直近の給与明細から年収を割り出して計算される場合と、それでは賞与が適切に反映されないとして、暫定的に前年収入で養育費を算定し、変更が明らかになった場合は再協議する旨の調停内容となる場合があります。

 

 

⑵ 自営業の場合の表の見方

自営業者の場合も、子どもたちの人数・年齢に応じた表を探すところまでは同じです。

 

次に、収入はいくらとなるかですが、自営業の場合には会社員・公務員の場合になされない税法上の修正がされいるので、その分を考慮した金額を算出する必要があります。

 

では、算出方法を見ていきましょう。

 

まず、自営業の場合の収入を算出するには確定申告書が必要となります。

確定申告書が手元にない場合は、税務署で写しを申請すると、1か月程度で送られてきます。

確定申告書には、項目ごとに番号が振られているので、以下では確定申告書に記載の番号にあわせて説明します。

 

まず、基準となるのは、確定申告書の右上に書いてある「㉖課税される所得金額」です。

 

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確定申告書右上「㉖課税される所得金額」を見る

 

 

次に、税務上の処理で収入から引かれているだけで、実際には支出していない金額を「㉖課税される所得金額」に加えます。

具体的には、

51 青色申告特別控除
10 雑損控除
18 寡婦、寡夫控除
19~20 勤労学生、障害者控除
21~22 配偶者(特別)控除
23 扶養控除
24 基礎控除

 

さらに、養育費算定表を作成するにあたって、既に考慮されている項目を加えます。

具体的には、

11 医療費控除
14 生命保険料控除
15 地震保険料控除

 

そして、養育費より優先度が劣るため考慮すべきでない金額を加えます。

具体的には、以下のものです。

13 小規模企業共済等掛金控除
16 寄付金控除

 

なお、自営業の場合は、節税のために実際に働いていない親族を雇っていることにしていることがあります。

そのような場合には、「50 専従者給与(控除)の合計額」のうち、実態のない給与分を加えます。

 

これらは下画像の確定申告書でいうとチェックをつけてあるところです。

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課税される所得金額から差引かれる項目

 

こうして算出された金額を養育費算定表の内側の金額欄に当てはめて算出します。

⑶ 会社員+自営業の場合の表の見方

会社員だけれども、副業として自営業を営んでいる場合は、まず、表の会社員の収入欄を確認し、その横に書いてある自営業者だった場合に対応する収入を確認します。

 

たとえば、10歳の子供が1人いて、義務者の会社員としての収入が550万円、自営業収入100万円だとします。

その場合、会社員の550万円のところを見ていただくと、その右側に401万円と書いてあります。
つまり、会社員としての収入550万円は自営業収入401万円に相当するということです。
この401万円に自営業収入100万円を加えた金額で養育費を計算すれば良いということになります。

 

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会社員+自営業の場合

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2 標準算定式を使って計算する

「養育費算定表」は、離婚調停や離婚裁判でも利用されているので、基本的には同表を見ていただければ良いのですが、「養育費算定表」に当てはまらない場合は、同表の元になっている標準算定式を使って計算する必要があります。
養育費を増減額して欲しい場合も、この標準算定式を応用することになります。

 

⑴ 標準算定式

では、標準算定式について説明します。
標準算定式の考え方は、まず、子供の生活費を計算し、その生活費を父親と母親の収入(年収)に応じた割合で負担するというものです。
子供の生活費は、収入(年収)の中で何割くらいが生活費として使われるかを統計資料を基に一般化されています。
具体的には、

 

子の生活費=義務者の基礎収入×子の生活費指数÷(子の生活費指数+義務者の生活費指数)

 

養育費=子の生活費×義務者の基礎収入÷(義務者の基礎収入+権利者の基礎収入)

 

で計算されます。

 

⑵ 基礎収入とは

ここでいう「基礎収入」は、「養育費算定表」を使うときの収入と異なるので注意してください。
会社員の場合は、支払総額から、税金、職業費(通勤費用、被服費など)、特別経費(住居関係費、保健医療費、保険掛金など)を差引いたもの
自営業者の場合、課税所得から、税金、特別経費(住居関係費、保健医療費、保険掛金など)を差引いたもの
となります。
これらの金額は、職種等により異なりますが、特別な事情がない限り、統計をもとに以下のように計算します。

 

会社員の場合(総支給額に対し以下の割合)
0~25万円・・・・・・・42%
25~75万円・・・・・・41%
75~175万円・・・・・40%
175~300万円・・・・39%
300~400万円・・・・38%
400~500万円・・・・37%
500~725万円・・・・36%
725~975万円・・・・35%
975~2000万円・・・34%

 

自営業の場合(課税所得に対し以下の割合)
0~290万円・・・・・・・52%
290~440万円・・・・・51%
440~691万円・・・・・50%
691~943万円・・・・・49%
943~1041万円・・・・48%
1041~1409万円・・・47%

 

⑶ 生活費指数とは

生活費指数は、標準的な大人を100とした場合に、どれくらいの生活費がかかるかを考えたものです。
生活費指数については、特別な事情がない限り、大人は100、15歳未満の子供は55、15歳以上の子供は90とされます。

 

⑷ 計算してみよう

では、「養育費算定表」にない、子供が4人の場合を例にして計算してみましょう。
権利者の収入がパートで100万円、義務者の収入が会社員で600万円、子供2人は15歳未満、2人は15歳以上として計算します。

 

まず、子供の生活費を計算します。
計算式は、上記⑴のとおり、
子の生活費=義務者の基礎収入×子の生活費指数÷(子の生活費指数+義務者の生活費指数)
また、基礎収入は、上記⑵で書いたとおり、
義務者の基礎収入:600万円×36%=216万円
権利者の基礎収入:100万円×40%=40万円
生活費指数は、権利者100、義務者100、15歳以上の子供90×2人、15歳未満の子供55×2人

 

よって、
子供の生活費=216万円×(90×2人+55×2人)÷(90×2人+55×2人+100)
≒160万円

 

養育費の計算式は、
養育費=子の生活費×義務者の基礎収入÷(義務者の基礎収入+権利者の基礎収入)
に当てはめると、

 

養育費=160万円×216万円÷(216万円+40万円)
≒135万円

 

1か月当たり、135万円÷12か月=11万2500円となります。

 

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養育費は何歳まで?
私立学校に通う場合の養育費
相手の収入が2000万円以上の場合の養育費

 

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