養育費の計算|2019年12月改定対応

2015-02-25

離婚後の養育費については、当事者間で合意ができる場合は、その金額となりますが、当事者間で合意ができない場合は、裁判所が決めることになります。

 

裁判所が決める場合は、裁判所が公表している養育費算定表、あるいは、その元になっている標準算定式で計算した金額となります。

 

ざっくりと相場を知る場合は算定表、細かく決めたい場合や、算定表にない家族構成の場合は標準算定式を利用してください。

 

養育費を相場にとらわれずに話合いで決めても有効となりますが、一度決めてしまうと簡単には変更できないこと、変更する場合も最初の取り決めの趣旨を考慮して判断されることから、慎重に決めてください。

 

なお、ここで説明するのは、一般的な場合であって、お子さんが私立学校に通っていたり、相手が住宅ローンを支払う家に住んでいる場合など、ここで説明する金額にならない場合があります。

ここで全て説明することはできないので、男女問題コラム目次から、あなたに当てはまる例外項目をご参照ください。

 

【目次】

1 養育費算定表から養育費を算出する
⑴ 会社員・公務員の場合の表の見方
⑵ 自営業の場合の表の見方
⑶ 会社員+自営業の場合の表の見方

 

2 標準算定式を使って計算する
⑴ 標準算定式
⑵ ステップ1:基礎収入を計算する
⑶ ステップ2:子供の生活費を計算する
⑷ ステップ3:義務者の支払い額=養育費を計算する
⑸ 計算してみよう

 

 

1 養育費算定表から養育費を算出する

⑴ 会社員・公務員の場合の表の見方

上記の通り、離婚の際の養育費について、現在の調停・裁判では、「養育費算定表」を使い金額を算定します。

下の画像のように裁判所のHPに子供の人数と年齢別に表が載っているので選択してください。

 

裁判所・養育費ページ

 

 

 

 

 

 

 

 

養育費算定表は、縦軸に、養育費を支払う側(義務者)の収入(年収)、横軸に養育費を請求する側(権利者)の収入(年収)が記載されており、両者の交わるところに記載されている金額が、1か月の養育費の金額となります。

 

会社員・公務員の場合は、グラフの外側に記載されている金額に当てはめます。
このときの収入(年収)は、手取り額ではなく、税金を引かれる前の総支給額で計算します。
源泉徴収票だと「支払金額」と書いてあるところ、課税証明書だと「給与収入」と書いてあるところの金額です。

 

たとえば、10歳の子供が1人で、義務者の年収600万円、権利者の年収125万円の場合、下図のように月6~8万円の欄の下の方なので、他に特別な事情がない場合、6万円程度が養育費の相場となります。

 

養育費算定表サンプル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで、転職したり、昇給・減給があった場合など、前年の源泉徴収票や課税証明書と収入が大きく違う場合は問題となります。

 

この場合の対応は、裁判官が具体的事情によって判断しますが、雇用契約書や、直近の給与明細から年収を割り出して計算される場合と、それでは賞与が適切に反映されないとして、暫定的に前年収入で養育費を算定し、変更が明らかになった場合は再協議する旨の調停内容となる場合があります。

 

 

⑵ 自営業の場合の表の見方

自営業者の場合も、子どもたちの人数・年齢に応じた表を探すところまでは同じです。

 

次に、収入はいくらとなるかですが、自営業の場合には会社員・公務員の場合になされない税法上の修正がされいるので、その分を考慮した金額を算出する必要があります。

 

まずは、自営業の場合の収入を算出するには確定申告書が必要となるので用意します。

確定申告書が手元にない場合は、税務署で写しを申請すると、1か月程度で送られてきます。

 

理論に合わせて計算していくと複雑になるので、簡易な計算方法をお伝えすると、

 

所得金額-社会保険料+青色申告(白色申告)特別控除+実際に支払っていない専従者給与

 

で算出した金額を養育費算定表に当てはめます。

 

 

理論に基づいた計算方法は次の通りです。

 

まず、基準となるのは、確定申告書の右上に書いてある「㉖課税される所得金額」です。

 

%e7%a2%ba%e5%ae%9a%e7%94%b3%e5%91%8a%e6%9b%b801

確定申告書右上「㉖課税される所得金額」を見る

 

 

次に、税務上の処理で収入から引かれているだけで、実際には支出していない金額を「㉖課税される所得金額」に加えます。

具体的には、

51 青色申告特別控除
10 雑損控除
18 寡婦、寡夫控除
19~20 勤労学生、障害者控除
21~22 配偶者(特別)控除
23 扶養控除
24 基礎控除

 

さらに、養育費算定表を作成するにあたって、既に考慮されている項目を加えます。

具体的には、

11 医療費控除
14 生命保険料控除
15 地震保険料控除

 

そして、養育費より優先度が劣るため考慮すべきでない金額を加えます。

具体的には、以下のものです。

13 小規模企業共済等掛金控除
16 寄付金控除

 

なお、自営業の場合は、節税のために実際に働いていない親族を雇っていることにしていることがあります。

そのような場合には、「50 専従者給与(控除)の合計額」のうち、実態のない給与分を加えます。

 

これらは下画像の確定申告書でいうとチェックをつけてあるところです。

%e7%a2%ba%e5%ae%9a%e7%94%b3%e5%91%8a02

課税される所得金額から差引かれる項目

 

こうして算出された金額を養育費算定表の内側の金額欄に当てはめて算出します。

⑶ 会社員+自営業の場合の表の見方

会社員だけれども、副業として自営業を営んでいる場合は、まず、表の会社員の収入欄を確認し、その横に書いてある自営業者だった場合に対応する収入を確認します。

 

たとえば、10歳の子供が1人いて、義務者の会社員としての収入が500万円、自営業収入100万円だとします。

その場合、会社員の550万円のところを見ていただくと、その右側に373万円と書いてあります。
つまり、会社員としての収入500万円は自営業収入373万円に相当するということです。
この373万円に自営業収入100万円を加えた自営収入473万円で養育費を計算すれば良いということになります。

 

給与+自営

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2 標準算定式を使って計算する

厳密に計算したい場合や、養育費算定表に当てはまらない場合は、同表の元になっている標準算定式を使って計算する必要があります。

⑴ 標準算定式

では、標準算定式について説明します。
標準算定式は、双方の基礎収入を算出し、次に、基礎収入のうちいくらを子供の生活費として支出するかを計算し、最後に子の生活費を父親と母親の収入(年収)に応じて分担するという3段階で計算します。

⑵ ステップ1:基礎収入を算出する

基礎収入とは、収入から税金や、その収入を維持するために必要な経費などを差引いたものです。

具体的には、会社員の場合は、支払総額から、税金、職業費(通勤費用、被服費など)、特別経費(住居関係費、保健医療費、保険掛金など)を差引いたもの、自営業者の場合、所得から、税金、特別経費(住居関係費、保健医療費、保険掛金など)を差引いたもの
となります。
これらを厳密に計算するのは大変なので、原則として、統計に基づいた以下の割合をかけて算出します。

 

会社員・公務員などの場合(総支給額に対し以下の割合)
0~75万円・・・・・・・・54%
75万~100万円・・・・・50%
100~125万円・・・・・46%
125~175万円・・・・・44%
175~275万円・・・・・43%
275~525万円・・・・・42%
525~725万円・・・・・41%
725~1325万円・・・・40%
1325~1475万円・・・39%

1475~2000万円・・・38%

2000万円~・・・・・・・具体的事情に応じて算出

 

自営業の場合(所得金額-社会保険料+青色申告(白色申告)特別控除+実際に支払っていない専従者給与、に対し以下の割合)
0~66万円・・・・・・・・61%
66~82万円・・・・・・・60%
82~98万円・・・・・・・59%
98~256万円・・・・・・58%
256~349万円・・・・・57%
349~392万円・・・・・56%

392~496万円・・・・・55%

496~563万円・・・・・54%

563~784万円・・・・・53%

784~942万円・・・・・52%

942~1046万円・・・・51%

1046~1179万円・・・50%

1179~1482万円・・・49%

1482~1567万円・・・48%

1567~・・・・・・・・・具体的事情に応じて算出

 

⑶ ステップ2:子供の生活費を計算する

子供の生活費は、生活費指数を使って計算します。

生活費指数は、標準的な大人を100とした場合に、どれくらいの生活費がかかるかを考えたものです。
2019年12月の改定で、子供の生活費指数について、教育関係費を含む場合と含まない場合が公表されました。

具体的には以下のとおりです。

 

14歳以下の子供・・・62(教育関係費を含まない場合は51)

15歳以上の子供・・・85(教育関係費を含まない場合は60)

 

養育費とは、自分と同じレベルの生活を子供たちにさせるための費用なので、義務者の基礎収入を義務者と子供たちで分けます。

具体的には、次の通りです。

 

子供の生活費=義務者の基礎収入×子供たちの生活費指数÷(子供たちの生活費指数+義務者の生活費指数)

 

⑷ ステップ3:義務者の負担額を計算する

上記で算出した子供の生活費について、義務者と権利者で、その収入に応じて負担割合を決めます。

それが養育費です。

具体的には次の通りです。

 

義務者の負担額(養育費)=子供の生活費×義務者の基礎収入÷(義務者の基礎収入+権利者の基礎収入)

 

上記で算出されるのは年額ですから、月額を求めるには12で割ってください

 

また、上記は、養育費の合計額ですので、子供一人ずつの養育費を算出する場合は、もう一手間必要です。

具体的にには、生活費指数を利用して次の通り計算します。

 

対象となる子の養育費=養育費全体の金額×対象となる子の生活費指数÷(子供全員の生活費指数)

 

⑸ 計算してみよう

では、「養育費算定表」にない、子供が4人の場合を例にして計算してみましょう。
権利者の収入がパートで100万円、義務者の収入が会社員で600万円、子供2人は14歳以下、2人は15歳以上として計算します。

 

まず、双方の基礎収入を計算します。

 

義務者の基礎収入=600万円×41%

=246万円

 

権利者の基礎収入=100万円×50%

=50万円

 

次に、子供の生活費を計算します。

 

子供の生活費=義務者の基礎収入×子の生活費指数÷(子の生活費指数+義務者の生活費指数)

=246万円×(62×2+85×2)/(62×2+85×2+100)

=183万5635円

 

最後に、上記のうち義務者が負担すべき金額=養育費を計算します。

 

養育費=子供の生活費×義務者の基礎収入÷(義務者の基礎収入+権利者の基礎収入)

=183万5635円×246万円/(246万円+50万円)

=152万5561円

月額=152万5561円÷12

≒12万7130円

 

以上より、月額12万7130円の養育費となります。

 

ちなみに子供一人あたりの養育費を算出すると、

 

14歳以下子の一人の養育費=12万7130円×62/(62×2+85×2)

≒2万6810円

 

となります。

15歳以上の子は、上記と同じ計算式算出してもかまいませんが、14歳以下の子×2の金額を引いて、さらに2で割っても出てきます。

 

15歳以上の子一人の養育費=(12万7130円-2万6810円×2)÷2

=3万6755円

 

となります。

 

上記では1円単位で計算しましたが、裁判所が決める場合は、1000円単位で四捨五入することが多くあります。

 

 

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