親権者をどちらにするかの基準

2015-09-26

未成年の子供の親権者をどちらにするか話合いで決まらない場合、裁判所が子供にとってどちらが親権者となるのが良いかという観点から決めます(民法766条)。

 

どちらが子供にとって良いかは、様々な事情を総合考慮して決められますが、主な考慮要素は以下のとおりです。

 

① 監護(子育て)の実績

子供にとって環境がころころと変わることは良くないと考えられており、これまで問題なく監護を継続していた場合には、その事実は重視されます。
ただし、相手が監護していた子供を強引に連れ去って監護下においたような場合は、長期間監護しても評価されません。
同居している場合には、主として子供を監護していたのはどちらかという点が考慮されます。

 

② 子供の意思

親権者の決定においては子供の意思も尊重されますが(家事事件手続法65条)、子供の年齢によってどの程度重視されるかは変わってきます。

 

〈幼児の場合〉
子供が言葉を話せ、ある程度意思疎通ができるようになると、家庭裁判所調査官による調査がなされますが、子供が父(母)親に拒絶反応を示すような場合を除き、子供が希望した方を親権者とするという関係にはありません。

 

〈10歳~15歳の場合〉
10歳程度になると、ある程度子供にも判断能力があると考えられ、子供の意思も重視されます。
ただし、まだまだ監護親の影響を受けやすい年齢でもあるので、子供の意思だけで親権者が決まることはありません。

 

〈15歳以上の場合〉
子供が15歳以上の場合は親権者を決めるにあたって子供の意見を聞かなければならないことになっています(人事訴訟方32条4項、家事事件手続法152条2項・169条)。
15歳以上の場合は、原則として子供の希望が最優先されると考えてよいでしょう。

 

③ 乳幼児の母親優先

従来、乳幼児にとって母親は不可欠と考えられており、父親に親権が認められることはほとんどありませんでした。
最近では、このような考えに批判も多く、子供が小さいからといって単純に母親が親権者となることはありません。
また、「母親」について、「生物学的な母親」を指すのではなく「母性的な関わりを持つ対象となった養育者」という広い意味もあるとし、父親を親権者とした例もあります(新潟家庭裁判所長岡支部平成10年3月30日審判)。
そうはいっても、まだまだ母親が有利な状況に変わりはないように思います。

 

④ 面会交流を許容しているかどうか

子供にとって、親との交流を持つことは健全な成長のうえで重要と考えられています。
このことから、元夫(妻)との面会交流を許容する態度があるかどうかという点も考慮要素となります。
ただし、上記3つの要素ほど重要視はされていません。

 

⑤ 兄弟姉妹の不分離

兄弟姉妹が別々に引き取られると、父(母)との別れに加え、兄弟姉妹との別れという精神的負担が加わり、子供にとって良くないと考えられています。
しかし、決定的要素ではありませんし、年齢が上がるとこの要素の重要性が低下します。

 

⑥ 違法な子供の連れ去りではないか

子供が一方の親の元で生活しているのを強引に連れ去ったり、子供との面会交流をきっかけに子供を帰さなかったりしたような場合、そのよう行為をする親は親権者として不適格とされます。

 

⑦ 監護能力

子供を監護していく能力があるかも一つの考慮要素となります。
具体的には、アルコール依存症であるとか、精神疾患があるなどと言った事情がある場合には、適切に子供を看護できないとされることがあります。
また、これまで子供の監護にどの程度関わっていたかも監護能力を判断する事情となります。

 

⑧ 経済的能力

子供を育てていくための経済的能力があるかも一つの考慮要素ですが、生活保護受給者でも親権者として認められる例は多数あり、浪費が激しく子供のことより自分を優先するといったような事情がなければ、それほど大きな考慮要素ではありません。

 

原則として考慮されない事情

よく主張されますが、実際には原則として考慮されない事情として、婚姻関係の破綻原因があります。
たとえば、相手の不倫が離婚原因であったとしても、親としての的確性とは別問題とされます。
もっとも、不倫相手に入れあげて子供の監護をしないとか、暴力が離婚原因で子供に危害が加えられるおそれがあるといった場合は別です。

 

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