婚姻費用の計算

2015-05-13

離婚前に別居する場合、収入の多い方は、収入の少ない方の生活を援助する必要があります。
この生活の援助金を婚姻費用分担金といいます。
婚姻費用分担金は、お子さんがいる場合には、お子さんの養育費を含んだ金額となります。
この婚姻費用はいくらくらいが妥当かですが、婚姻費用の金額は、多くの場合は裁判所が公表している養育費・婚姻費用算定表に基づいて算定します。
しかし、婚姻費用算定表に当てはまらない場合は、表の元となっている標準算定式というものを利用する必要があります。
また、婚姻費用算定表作成の際に想定されていない事情がある場合にも、この標準算定式を応用して算出する必要があります。

 

1 婚姻費用算定表の使い方

⑴ 基本的な使い方

婚姻費用は、婚姻費用の分担を請求をする権利者の収入と支払をする義務者の収入とが交わっている部分となります。
婚姻費用費算定表の金額は、事情によって多少調整できるように幅のある記載となっていますが、通常は、収まっている枠の上限近くなら上限近い金額、下限近くなら下限近い金額、真ん中当たりなら中間的金額と考えておいて良いでしょう。

 

ここでいう「収入」は、会社員や公務員などの給与所得者の場合、手取金額ではなく額面金額となります。
源泉徴収票だと「支払金額」、課税(所得)証明だと「給与収入」と書かれている金額です。「総所得金額」ではないので注意してください。

 

自営業者の場合には、確定申告書の「課税される所得金額」、課税(所得)証明書「総所得金額」と書かれている金額が基準となります。

 

⑵ 給与+自営の収入がある場合

会社員だけれども副業などによる収入がある場合や、自営業だけれどもアルバイトもしていると言った場合には、まずは、給与所得の部分を表の「給与」の金額に当てはめます。
次に、そのすぐ横に書いてある自営の場合の金額を見てください。
その金額が給与所得を自営だったと仮定した場合の金額となります。
その金額に、自営での収入を加えた金額が、「収入」となります。

 

例えば、義務者の給与収入500万円、自営所得300万円、、権利者が給与所得200万円、子供1人の場合、養育費算定表の表11を使います。
同表の、義務者の給与所得が500万円の右を見ると、自営の場合363万円に相当することになります。
これに自営所得300万円を加え、自営収入663万円と考えます。
権利者の給与収入が200万円ですから、両者の交差する14~16万円が適正金額となります。

 

⑶ 家庭内別居の場合

家庭内別居であっても婚姻費用分担金を請求できますが、婚姻費用算定表は、別居していることを前提としているので家庭内別居の場合は住居費分を差引くことになります。

 

具体的にどのように調整するのかについては裁判例によってまちまちで、担当した裁判官が、適切と考える額を婚姻費用算定表記載の金額から差引いた金額となります。

 

2 標準算定式での計算方法

婚姻費用算定表に当てはまらない場合は、標準算定式を使います。
標準算定式の考え方は、①世帯の基礎収入を計算する、②世帯の基礎収入から権利者に配分されるべき額を計算する、③義務者が支払う額を計算する、の3段階に分けて計算すると分かりやすくなります。

 

①世帯の基礎収入を計算する

基礎収入とは、上記「収入」から、税金や仕事関係の交通費・被服費、住居費や医療費を除いた、正味生活に使える収入をいいます。
差引かれる費用は実費ではなく、総務省統計局の家計調査年表などから一律に計算されることになります。

 

具体的には収入に次の割合をかけて算出します。

 

給 与 所 得 者 の 場 合 自  営  業  の  場  合
 0~25万円 42% 0~290万円 52%
 25~75万円 41% 290~440万円 51%
 75~175万円 40% 440~691万円 50%
 175~300万円 39% 691~943万円 49%
 300~400万円 38% 943~1041万円 48%
 400~500万円 37% 1041~1409万円 47%
 500~725万円 36%
 725~975万円 35%
 975~2000万円 34%

例えば、会社員で収入(支払金額)が600万円の場合、
基礎収入=600万円×36%
=216万円
となります。

 

②権利者に配分されるべき額を計算する

子供が義務者と一緒に生活した場合の生活費は、大人を100とした場合の割合で計算されます。
この割合のことを「生活費指数」といいます。
子供の年齢が14歳までの生活費指数は55、15歳以上は90と考えます。

 

具体的な計算式は、

 

権利者に配分されるべき金額=(義務者の基礎収入+権利者の基礎収入)×(100+55×14歳以下の子供の人数+90×15歳以上の子供の人数)÷(100×2+55×14歳以下の子供の人数+90×15歳以上の子供の人数)

 

となります。

 

③義務者が支払う額を計算する

最後に、子供の生活費について、権利者と義務者の負担割合を決めます。

 

計算式は、

 

義務者が支払う金額=②権利者に配分されるべき金額-権利者の基礎収入

 

となります。

 

ここで算出される婚姻費用は年間の婚姻費用ですので、月々の婚姻費用は12で割った金額となります。

 

〈計算例〉

実際に計算してみましょう。
義務者が会社員で収入は600万円、権利者も会社員で収入は200万円、子供は3歳児が1人とします。

 

①基礎収入

 

義務者の基礎収入=600万円×36%=216万円
権利者の基礎収入=200万円×39%=78万円

 

②権利者に配分されるべき金額

 

義務者に配分されるべき金額=(216万円+78万円)×(100+55)÷(100×2+55)≒176万円

 

③義務者が支払う金額

 

義務者が支払う金額=176万円-78万円=98万円

 

月額=98万円÷12≒8万円

 

念のため婚姻費用算定表で確認すると、8~10万円となるので計算結果と一致します。

 

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