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相手の浮気(不倫、不貞)や風俗通いを理由に離婚したいというご相談も多くあります。
浮気や風俗通いは、民法上「不貞行為」となる場合と「その他婚姻を継続し難い重大な事由」となる場合があるので順に説明します。
民法770条1項1号 は、「配偶者に不貞な行為があったとき」に離婚できると定めています。
不貞行為とは、夫婦の一方が、自分の意思で配偶者以外の者と性行為をすることです。
*近年刑法の強姦罪が改正されたり、LGBTSの権利が認められたりしていることから、今後は不貞の定義が変わってくるかもしれません(2021.9加筆)
「自分の意思で」ですから、例えば強姦被害に遭った場合は不貞行為にはあたりません。
「自分の意思で」あれば良いので、生活苦のために売春行為をしても不貞行為にあたります。
「配偶者以外の者」であればいいので、相手は風俗嬢でも不貞行為にあたります。
「性行為」をすることが必要ですので、浮気や風俗通いが全て不貞行為になるわけではありません。
また、同性愛の場合も不貞行為にはあたりません。
もっとも、上記の定義に当てはまらない場合でも、あとで説明する「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるとして、離婚や離婚慰謝料が認められる場合があります。
なお、「一回だけの不貞行為は離婚理由にならないんですか?」という質問を受けることがありますが、一回だけであっても不貞行為には変わりないので、離婚理由になります。
くわしくは、こちらのコラム「1回だけの不貞行為でも離婚できます」をご覧ください
たまに、不倫相手との性交渉を自分で撮影して保存していたのが配偶者に見つかったというケースがあります。
その場合は、疑いようもなく不貞が成立するのですが、実際の相談でよくあるのは、ラブホテルに出入りする写真です。
ラブホテルに2人で入っていけば、やることは決まっていますので、不貞の証拠として十分です。
では、ビジネスホテルに2人で入っていく場面ではダメなのでしょうか?
ビジネスホテルの場合は、ロビーや併設されているカフェ、貸会議室での打ち合わせなどの言い訳ができるので、2人でビジネスホテルに入っていっただけでは不貞行為の証拠としては不十分です。
もっとも、ビジネスホテルであっても同室に入っていく場面とある程度の時間経過後に出てくる場面などがあれば、不貞行為があったと認められる可能性は高くなります。
また、ビジネスホテルに入る写真だけでは不十分ですが、事前にホテルでの待ち合わせをするLINEのやり取りがあるなどがあれば、写真だけあるいはLINEだけでは不十分でも、両者を総合して不貞行為が認められる場合もあります。
配偶者と浮気相手との会話などを録音したものが証拠として出されることがありますが、これも重要な証拠となります。
性行為の場面そのものであれば間違いないですが、それ以外の会話の場合、会話の内容や状況、他の証拠との総合評価で判断されます。
配偶者と浮気相手の会話ではなく、一方が相手方配偶者や浮気相手に対して浮気を問い詰める会話を録音したものが証拠として提出されることもあります。
これも重要な証拠には違いないのですが、失敗しがちなのが、ほとんど一方のみがしゃべっているという録音が多い印象です。
このような場合、相手から「私は同意していない」とか、「浮気を認めるように強迫された」とか、「すごい剣幕で怒鳴ってきたので、その場を納めるために適当に相づちを打った」と主張されることがあります。
ですから、配偶者や浮気相手が浮気を認めているところを録音するときは、なるべく相手にしゃべらせてください。
録音するのに相手の許可はいりません。
メールやLINE、SNSでのやりとり、ブログの記事などを証拠として提出することも多くあります。
携帯メールやLINEを証拠とする場合は、偽造ではないことを証明するために、相手の携帯電話でメール画面を表示させて、その画面が表示されている携帯電話を撮影してください。
そのような余裕がない場合は、メールを転送するような方法での証拠確保でもやむを得ません。
ラインも会話を一括で転送可能です。
詳しい方法は「LINE ログ 転送」などで検索してください。
SNSやブログなどの画面を証拠として出す場合は、パソコンの画面を印刷してください。
サイトの作りによっては、印刷ボタンを押してもうまく印刷できない場合があります。
その場合は、表示されている画像を画像として保存し印刷する必要がありますが、詳しくはインターネットで検索してください。
ラブホテルのレシートや、ラブホテルの利用履歴のあるクレジットカード、GPSでラブホテルにある程度長時間停止していた記録があるなど、ラブホテルを利用していた記録があれば、ほとんどの場合はラブホテルを一人で利用することはないため、誰かと利用したといえます。
不貞相手を訴えるならば、不貞相手を特定する必要がありますが、配偶者が不貞を行ったことを証明するだけであれば、誰と利用したかまで特定する必要はありません。
つまり、ラブホテルの利用履歴と、あなたが一緒に行っていないことさえいえれば、不貞が強く推認されます。
なお、なぜか定番の言い訳として「会社の先輩から(風俗やラブホの)ポイントカードを預かってくれと言われた。俺のじゃない」というのがあります(どこかの不倫指南サイトに書いてあるのだろうか?)。
しかし、この言い訳を裁判官が採用するのを見たことがありません。
上記は、不貞行為の証拠として多いものですが、他のものでも不貞行為をうかがわせるものであれば証拠になりますし、一つでは不貞行為と認定できない場合でも、複数の証拠から不貞行為が認定されることもあります。
ですから、「こんなものが証拠になるのかな?」と思った場合は、とりあえず取っておいてください。
上記の通り、民法770条1項1号の「不貞行為」といえるためには、性行為があったことを証明する必要があります。
しかし、性行為までは証明できなくても、社会常識的に考えて親密すぎる男女関係が証明できる場合は、民法770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」として離婚が認められることがあります。
たとえば、キスや抱き合っている写真がある場合などがこれにあたります。
また、風俗通いも配偶者が嫌悪感を抱くのが通常ですから、たとえ性行為がない場合でも「婚姻が継続し難い重大な事由」として離婚が認められる場合があります。
もっとも、ひとくちに風俗といっても、その内容は様々なので、その内容や通った頻度、事前に風俗通いはやめてほしいと言っていたかなどによって、重大な事由とまではいえないとされることもあります。
浮気が「不貞行為」ではなく、「婚姻を継続し難い重大な事由」と認定された場合、一般的に不貞行為より浮気の程度が軽いとえいるので、離婚慰謝料の金額は、不貞行為の場合より低めとなります。
具体的な金額は、浮気相手との親密さの程度や交際継続期間などから裁判所が判断することになります。
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