死後認知後に相続分を請求する場合の遺産の価格算定基準時と遅延損害金

2017-09-22

死後認知によって新たに亡くなった方の子供と認められた方は、最初から子供であったことになるので、亡くなった方の相続人となります。

もっとも、死後認知が認められる前に遺産分割手続きが終わっている場合には、遺産分割を無効とするのではなく、すでに遺産を受け取っている相続人が、死後認知によって相続人になった者に相続割合相当額のお金を支払いなさいということになっています。

 

この場合、相続財産が現金のみであれば問題ありませんが、不動産や株式が含まれていると、いったいいつの時点の価格を基準にお金を支払えばいいのかという問題が生じます。

また、死後認知によって相続人になった方は、既に遺産を受け取っていた相続人からお金を支払ってもらうことになりますが、本来被相続人死亡時から権利があったのに支払いが遅れたのだとして遅延損害金を請求できるのか、それとも請求されたのに支払わなかった時から遅延損害金が発生するのかという問題が生じます。

 

この点について、最高裁判所第二小法廷は、平成28年2月26日判決で判断を示しました。

 

1 価格算定の基準時は?

 

まず、価格が変動する遺産について、いつの時点の金額を基準に価格を算定するかについて、最高裁判所は、死後認知請求によって相続人になったものから他の相続人に対し支払い請求があったときの価格を基準とするとしました。

 

以下、判決文が分かりやすいので、そのまま引用します。

相続の開始後認知によって相続人となった者が他の共同相続人に対して民法910条に基づき価額の支払を請求する場合における遺産の価額算定の基準時は,価額の支払を請求した時であると解するのが相当である。

なぜならば,民法910条の規定は,相続の開始後に認知された者が遺産の分割を請求しようとする場合において,他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしていたときには,当該分割等の効力を維持しつつ認知された者に価額の支払請求を認めることによって,他の共同相続人と認知された者との利害の調整を図るものであるところ,認知された者が価額の支払を請求した時点までの遺産の価額の変動を他の共同相続人が支払うべき金額に反映させるとともに,その時点で直ちに当該金額を算定し得るものとすることが,当事者間の衡平の観点から相当であるといえるからである。

 

2 いつから遅延損害金が発生する?

次に、請求を受けた相続人は、いつの分から遅延損害金を支払わなければならないかですが、最高裁判所は、請求を受けたときに支払い義務が生じるから、翌日から遅延損害金が生じるとしました。

 

こちらも判決文が分かりやすいので、そのまま引用します。

民法910条に基づく他の共同相続人の価額の支払債務は,期限の定めのない債務であって,履行の請求を受けた時に遅滞に陥ると解するのが相当である。
そうすると,本件の価額の支払請求に係る遅延損害金の起算日は,上告人が被上告人らに対して価額の支払を請求した日の翌日である平成23年5月7日ということになる。

 

 

【関連コラム】

死後認知請求

*死後認知後の相続

相続問題コラム目次

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
なごみ法律事務所
http://nagomilaw.com/
住所:〒104-0032 東京都中央区
八丁堀4-12-7サニービル5階A
TEL:03-5542-5210
弁護士 本 田 幸 則
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
Copyright(c) なごみ法律事務所 All Rights Reserved.