死後認知後の相続手続きに関する裁判例

2017-09-08

亡くなった方(被相続人)に認知していない子供がいる場合、死後認知という手続きで認知をしてもらうことが可能です。

認知が認められると、その効力は生まれたときにさかのぼります(民法784条本文)。

ですから、死後認知された子供も最初から相続人であったことになります

 

もっとも、死後認知は、死後3年間できるので、死後認知が認められた時には、すでに遺産分割手続きが終わっているということがあります。

そのような場合については、相続をやり直すのではなく、既に相続財産を受け取った相続人が、死後認知された相続人の相続割合相当額のお金を支払いなさいということになっています(民法910条)。

 

このお金の支払いが話し合いで解決できれば良いのですが、解決できない場合はどうするのか、実は法律には明確に書いていません。

そのため、どういう手続きで解決するのか、争う相手は誰にするのかが問題になったのが東京地方裁判所平成28年10月28日判決の事例です(控訴されています)。

 

この判決は、

①死後認知による相続問題は裁判で解決するもの

②もともとの相続人に配偶者と子がいる場合には、子のみを被告とする

と判示しました。

 

「どういう意味?」と思われたかもしれませんが、もっぱら手続き的な問題なので一般の方には理解しづらいかもしれません。

以下は、興味のある方のみお読みください。

 

1 死後認知による相続問題は裁判で解決するもの

これが問題となるのは、家庭裁判所には裁判手続きのほかに審判という手続きがあり、遺産分割は審判で決めることになっているため、死後認知によって生じた相続問題も遺産分割に準ずるものであるから審判手続きでするべきではないかという見解があるからです。

 

この点について、東京家庭裁判所は、審判事項について定めた家事事件手続法39条は、審判事項は別表1と2に限定する趣旨であるから、同表にない死後認知後の相続問題は裁判手続きで判断するとしたのです。

 

この判決の見解は、学説上も通説的なものです。

 

2 もともとの相続人に配偶者と子がいる場合には、子のみを被告とする

これがなぜ問題となるのかというと、死後認知後の相続問題で配偶者に影響する場合と影響しない場合があるからです。

 

たとえば、死後認知がなされる前の相続人が、配偶者のみであった場合、配偶者がすべての財産を相続しているわけですから、死後認知によって相続人になったものは、配偶者に対して相続分相当額を支払うよう請求することになります。

しかし、死後認知がなされる前の相続人が、配偶者と他の子供であった場合、配偶者が2分の1、子供たちが2分の1を相続することになります。

そうすると、たとえ死後認知によって子供が増えたとしても、配偶者の相続割合が2分の1であることに変わりがありません。

このような場合にも、相続に関する争いなのだから、相続人すべてを被告として裁判をしなければならないのか、それとも配偶者の相続割合には影響がないのだから、配偶者は裁判に巻き込まないようにするべきなのかが問題となります。

 

この点について、上記東京家庭裁判所は、配偶者の相続権は、血族相続とは別系列の相続であり、相続分にも影響を与えないから、配偶者を被告として裁判に巻き込む必要はないと判断しました。

 

この判断についても、学説上通説とされる見解と同じものです。

 

 

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