離婚で兄弟を別々に引き取った場合の養育費

2015-03-23

お子さんが複数いて、離婚にあたって兄弟を別々に引き取った場合の養育費はどうなるのでしょうか?

 

このことについて明確に解説している文献を見つけられませんでしたが、養育費を算定する場合、養育費支払い義務者は、総収入のうちいくらを子供のために支払うのが相当かという観点から算定します。

そうであれば、お互いに、自分の収入のうち相手が引き取った子供のためにいくら支払うのかを計算し、お互いに支払うのが適切でしょう。

なお、養育費の相殺は禁止されていますが、実質的には双方合意の上で差額を払うことになるでしょう。

 

 

1 養育費算定表を利用する

子供が3人以下、収入が2000万円以下でしたら、裁判所が公表している養育費算定表で簡易に計算できます。

 

具体的には、養育費算定表の金額を子供の生活費指数の割合で算出する方法です。
養育費の計算で説明したとおり、大人を100とした場合、子供の生活費は14歳以下が5515歳以上が90という指数で算出されます。
そこで、子供全員の養育費を養育費算定表で算出したうえで、(請求権者が育てている子供の生活費指数)÷(全ての子供の生活費指数の合計)を乗じます

 

具体的に考えてみましょう。
夫が年収600万円、妻が年収300万円、子供が15歳1人(夫側)、12歳1人(妻側)という状況で離婚するとします。
この場合、妻が夫に対して請求できる養育費を計算するには、養育費算定表の「子2人表(第1子15~19歳、第2子0~14歳)」の該当年収のところを見ます。
すると、月6~8万円の枠の上の方になります。
このうち、妻が引き取る子供の生活費の割合は、
55÷(55+90)≒0.3793
となります、上記の月6~8万円に、この割合を乗じると、
(月6~8万円)×0.3793=月2万2758円~3万0344円・・・①
となります。
これが、妻が夫に対し請求できる養育費の金額となります。

 

ここで、夫は、妻に請求できないのかが問題となります。

この点について明確に記載された文献、裁判例等は見つかりませんでした。

このことからすると、請求出来ないようにも思いますが、一般的な養育費の計算方法を見ていただければ分かるように、養育費は、夫(義務者)の収入のうち、いくらを子供に配分するかという考え方をしており、妻(権利者)の収入は加味されていません。

そうすると、今度は、妻の収入のうち、いくらを子供に分配するかということを考えるべきだということになります(私見)。

 

では、具体的に夫が妻に請求できる金額を計算してみましょう。
上記の養育費算定表の義務者側の収入が300万円、権利者側が600万円のところを見ると、月2~4万円となっています。
そして、夫が引き取る子供の生活費の割合は、
90÷(55+90)≒0.6667
となり、月2~4万円に上記金額を乗じると、
(月2~4万円)×0.6667=月1万3334円~2万6668円・・・②
となります。

 

養育費の相殺は禁止されていますが、実質的には、①と②で相殺され、夫が妻に月4000円~1万円程度支払うということになると思います。

 

2 計算式で計算する

養育費算定表に当てはまらない場合は、計算式で算出しなければなりませんが、考え方は同じです。

 

まずは、養育費の計算の後半で説明した、標準算定式で子供全体の養育費を計算してください。

 

その結果算出された金額を、上記の全ての子供に対する、引き取る子供の生活費指数の割合を乗じます。

 

念のため計算式を書いておくと、

 

①子の生活費=義務者の基礎収入×子の生活費指数÷(子の生活費指数+義務者の生活費指数)

 

②子供全員の養育費=子の生活費×義務者の基礎収入÷(義務者の基礎収入+権利者の基礎収入)

 

③引き取る子供の養育費=子供全員の養育費×(引き取る子供の生活費指数の合計÷子供全員の生活費指数の合計)

 

となります。

 

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