別居中に相手名義の家に住み続けられるか?
1 別居中に相手名義の家に住み続けられるか?
相手が出ていって別居になっているけれど、現在住んでいる家の名義は相手のものなので、「出て行け」と言われたら、出ていかないといけませんか?
そんな相談を受けることがあります。
結論としては、原則として出て行く必要はありません。
理由は、その家が実質的にも相手のものかどうかで異なります。
⑴ 実質的にも相手の家の場合
その家が、相手が独身時代に買ったものである場合や、相続したものである場合など、実質的にも相手のものである場合は、民法752条を根拠に使用貸借関係(無料で貸し借りする関係)があると考えられます。
民法752条は、夫婦はお互いに協力し、助け合いなさいという規定です。
これは、夫婦が険悪な関係になった場合でも同じで、原則として離婚が成立するまでは出て行く必要はありません。
もっとも、その家に残った側の暴力がひどくて、所有者の方が出て行かざるを得なかったというような場合には、家に残った方の使用貸借関係の主張は権利の濫用(民法1条3項)として認められないこともあります。
⑵ 名義が相手のものになっているだけの場合
その家が、結婚後購入したものである場合などは、たとえ名義が相手のものであっても、家は夫婦の共有財産となります。
その場合は、残っている方にも実質的には権利がありますから、離婚して財産分与が終わるまでは、当然に家に住む権利があります。
財産分与が終わった場合には、その財産分与の取り決めに従うことになります。
2 相手の親族等の土地・建物である場合は?
上記の通り、たとえ家の名義が相手のものであっても、原則として家を出る必要はありません。
しかし、相手の親が建てた家に無償で住まわせてもらっている場合などは、相手の親に退去を命じられた場合には、出て行く必要があります。
なぜなら、この場合は、相手の親は、自身の子供のために、家を無償提供しているのであって、当然、子供夫婦が上手くいっていることを前提とします。
子供夫婦が険悪な関係になって別居に至っているような場合には、この前提を欠くようになるからです。
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