300日問題は、認知調停がダメでも認知訴訟で解決できることがあります
300日問題については、「300日問題ー元夫に知られずに出生届を出したい」と「300日問題における認知調停の現状」で、記載したとおり、
子供を妊娠したであろう時期に、
①元夫と別居していた
②元夫と会ってもいなかった
という2つを証明することができれば、子供の父親を相手方として認知調停をすれば、裁判所が認知を認めてくれます。
①と②の証明の程度は、裁判官によってかなりばらつきがあり、①と②が推測できるというレベルで簡単に認知を認めてくれる裁判官もいれば、通常の訴訟レベルでの証明を求めてくる裁判官もいます。
そして、一般的には、調停よりも裁判のほうが証明のレベルについて高いレベルが要求されるので、認知調停をして、裁判官から証拠が足りないと言われると、あきらめざるを得ません。
ところが、先日申立をした認知調停において、担当裁判官から、現在の証拠では足りないと思うが、裁判で本人尋問をして、現在の証拠を本人尋問で補充することで認知を認める可能性があると示唆されました。
裁判官の示唆に従い、認知調停を不成立で終了してもらい、認知訴訟をしたところ、認知するとの判決をいただくことができました。
もっとも、認知裁判を担当していただいた裁判官は、本人尋問をすることもなく、DNA鑑定さえせずに、「あなたのお子さんで間違いないですね。お幸せに」と言ってすぐに認めていたたけたので、この方が担当であれば訴訟ではなく調停でも認められた気もしますが・・・
今回の件は、当職としては、100%とは言わないまでも80%くらいは認められるかなという程度の証拠があった案件ですので、全ての案件でこのようにうまくいくとは限りませんが、大丈夫だろうと思っていた認知調停が認められなかった時には、認知訴訟をしてみてもよいかもしれません。
*2018.2追記
認知調停を担当した裁判官から認知を認めないと言われたため、認知訴訟を提起したところ、認知訴訟の担当裁判官に調停に戻され、その戻された調停で裁判官に認知を認めるとされた事例がありました。
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監修弁護士紹介
弁護士 本 田 幸 則(登録番号36255)
・2005年 旧司法試験合格
・2007年 弁護士登録
弁護士になってすぐのころは、所属事務所にて、一般的な民事事件はもちろん、行政訴訟や刑事事件、企業法務まで担当しました。
独立後は、身近な問題を取り扱いたいと思い、離婚や相続などに注力しています。
ご相談においては、長期的な視野から依頼者にとって何がベストなのかを考え、交渉から裁判まであらゆる手段を視野に入れてアドバイスいたします。
弁護士 鈴 木 淳(登録番号47284)
・2006年 早稲田大学法学部卒業
・2006年 法務省入省(国家Ⅰ種法律職)
・2011年 明治大学法科大学院修了
・2011年 新司法試験合格
・2012年 弁護士登録
一般民事事件や中小企業法務を中心として、交渉から裁判まで、様々な分野の案件を担当してきました。
この度、なごみ法律事務所の理念に共感し、市民の方の生活に密着した問題や、経営者の日常的に接する問題を重点的に扱いたいと考え、執務することとなりました。
ご依頼者と同じ目線に立ちながら、最善の解決策を共に考えてゆきたいと思います。