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産経新聞によると、夫が、妻と不倫関係にあった女性に対し、損害賠償請求をしたのに対し、東京地方裁判所が、妻と相手女性の行為を不貞行為と認めて損害賠償請求を認めたそうです。
【コメント】
相手が同性であろうが異性であろうが、夫婦関係を壊すような行為をすれば、違法行為として損害賠償の対象になります。
そういう意味では、妻が異性と不倫関係にあったことを理由として損害賠償を認めること自体は異論はないものと思われます。
今回の判決は、同性との不倫行為を「不貞行為にあたる」とした点が特異的です。
従来、不貞行為とは性交渉をいうと解釈されていたからです。
この裁判例のような解釈が一般化するのかどうか分かりませんが、このニュースに関するネット上のコメントを見ると、おおむね好意的なようです。
今回の裁判例によると「不貞行為」とは、「婚姻生活の平和を害するような性的行為」と定義されているようですが、具体的に何をすれば不貞行為になるのかがあいまいです。
現場の弁護士としては、相談時に困るので、もう少し具体的な定義あるいは具体例が欲しいところです(報道されていないだけで判決文にあるのかもしれませんが)。
ひとつの目安として、2017年に刑法177条の強姦罪が、強制性交罪に改正され適用範囲を広げたのが参考になるかもしれません。
従来は、刑法では、強制的な性交渉のみを強姦としていたのものが、「性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)」として範囲を広げましたが、民事上の不貞も同様の定義にかわっていくかもしれません。
また、性交渉をともなう不倫とその他の性交類似行為にとどまる不倫で損害賠償額が異なるのかも問題となります。
報道レベルでは、この点が良く分かりませんが、今後の裁判例を注視していきたいところです。