婚姻費用養育費問題研究会って責任者はどこの誰だ!?
いったい誰に苦情を言っていいのか分からないので、ここで書きます。
東京地方裁判所の地下にある本屋さんで「婚姻費用・養育費等計算事例集(中・上級編)」(1500円)という本が売っていたので買いました。
発行は、婚姻費用養育費問題研究会という聞いたことがないところ。
でも、裁判所の地下の本屋で売っているのだから、そんなに変な本ではないだろうという考えと、収入の多い親が子を監護する場合という項目が載っていたために購入を決意。
で、該当ページを見てみると・・・
まず、婚姻費用については、普通に標準算定式に当てはめて計算するだけ。
たった、それだけに1ページを割いている。
まあ、こちらは間違っているわけではないから良しとしよう。
次に、養育費について。
明らかに間違っています!
この本によれば、通常の算定式は以下のとおり、
養育費=義務者の基礎収入×子の生活費指数÷(義務者の生活費指数+子の生活費指数)×義務者の基礎収入÷(義務者の基礎収入+権利者の基礎収入)
そして、義務者の基礎収入が、権利者の基礎収入より少ない場合は、末尾の「義務者の基礎収入÷(義務者の基礎収入×2)」になるという。
その理由は、義務者の支払額が多くなると酷だから。
いやいや、分母が小さくなったら支払額は多くなるだろ!
実際に、この本に書いている事例で考えてみよう。
義務者の基礎収入を100万円、権利者の基礎収入を250万円、子供の生活費指数55×1人とします。
通常の標準算定式で計算すると、
養育費=100万円×55÷(100+55)×100万円÷(100万円+250万円)
≒10万1000円
この本に書いてある、収入の低い義務者に配慮した計算式だと、
養育費=100万円×55÷(100+55)×100万円÷(100万円+100万)
≒26万2000円
明らかに、収入の少ない支払義務者に配慮したという計算式の方が支払額が多い・・・
なお、この著者は、おそらくこれがおかしいということに気づいている。
なぜなら、上記金額と収入が多い方が養育費を支払う場合の金額を比較して、「ほら、少ないでしょ」とごまかしているからだ。
「誰だよ、こんないい加減なことを書いてるのは!」
と思ってGoogle先生に尋ねても、婚姻費用養育費問題研究会が、構成員は誰で、どこにある組織なのか分からない。
編集担当として山本英明なる人物が書いてあるが、どこのだれか分からない。
というわけで、やむを得ず、ここに苦情を書かせていただく。
監修弁護士紹介
弁護士 本 田 幸 則(登録番号36255)
・2005年 旧司法試験合格
・2007年 弁護士登録
弁護士になってすぐのころは、所属事務所にて、一般的な民事事件はもちろん、行政訴訟や刑事事件、企業法務まで担当しました。
独立後は、身近な問題を取り扱いたいと思い、離婚や相続などに注力しています。
ご相談においては、長期的な視野から依頼者にとって何がベストなのかを考え、交渉から裁判まであらゆる手段を視野に入れてアドバイスいたします。
弁護士 鈴 木 淳(登録番号47284)
・2006年 早稲田大学法学部卒業
・2006年 法務省入省(国家Ⅰ種法律職)
・2011年 明治大学法科大学院修了
・2011年 新司法試験合格
・2012年 弁護士登録
一般民事事件や中小企業法務を中心として、交渉から裁判まで、様々な分野の案件を担当してきました。
この度、なごみ法律事務所の理念に共感し、市民の方の生活に密着した問題や、経営者の日常的に接する問題を重点的に扱いたいと考え、執務することとなりました。
ご依頼者と同じ目線に立ちながら、最善の解決策を共に考えてゆきたいと思います。