相手が調停や裁判を欠席した場合
離婚したくて調停を申立てたのに相手が調停に来ない、その後の裁判にも来ないという場合、どうすればいいのでしょうか?
そもそも、相手が調停には行かないと予告している場合にも調停をしないといけないのでしょうか?
相手が行かないと予告している場合の調停の必要性、相手が調停を欠席した場合、裁判を欠席した場合、その後の手続の順に説明します。
1 相手が調停には出ないと言っても調停をしないといけないの?
日本の法律では、離婚訴訟をする前に離婚調停をしなければなりません。
これを調停前置主義といいます(家事事件手続法257条1項)。
法律上の定めなので、この調停前置主義の要件はかなり厳しく、「相手が調停には出ないと言っている」程度では例外扱いしてくれません。
ですから、相手が調停に出ないと言っている場合でも、原則として調停を申立てる必要があります。
なお、例外として認められるんは以下のような場合です(家事事件手続法257条2項ただし書き)。
・相手が行方不明
・生死不明の場合
・相手方が精神疾患などで話合いができる状態ではない
たまに「夫が刑務所に入ってるんですが、調停をしないといけませんか?」というご相談もありますが、この場合でも調停申立をする必要があります。
この場合、通常は、裁判所から刑務所宛に呼出状が届き、刑務所から「調停に出席するための付添の刑務官を確保できないため調停には出席できない」といった回答が来て、調停は1回で終わります。
2 相手が調停を欠席した場合
調停を申立てたけれど相手が欠席した場合、多くの場合は調停委員から「もう一度呼び出してみましょう」と言われ、第2回目の期日が決まります。
第2回も欠席した場合は調停不成立で終わります。
調停を取下げて終わってもかまいません。
3 相手が裁判を欠席した場合
相手が裁判も欠席した場合は、被告欠席のまま裁判が進みます。
民事裁判のように、被告が欠席だと自動的に原告の主張通りになるということはありません。
ですから、たとえ相手が欠席しても法律上必要な主張をし、それを裏付ける証拠を提出する必要があります。
場合によっては、あなたのみが尋問されることもあります。
あなたの主張とあなたが持っている証拠を出し終わると、裁判官が、あなたの主張に理由があるかどうかを判断します。
被告からの反論がないので、あなたに圧倒的に有利になりますが、しっかりと証拠を出さないと裁判官があなたの主張を認定してくれない可能性もあるので、しっかりと主張をし、証拠を提出しましょう。
なお、相手が刑務所にいる場合でも、訴状が刑務所に送られ、相手が争う意思がある場合は、相手から答弁書が届きます。
通常は、相手から証拠等が提出されることはないでしょうから、基本的には上記の相手が欠席した場合に近い形で裁判は進んで行きます。
4 判決が出たあと
判決が出たら2週間の不服申立(控訴)期間がありますが、おそらく不服申立はないでしょう。
そこで、2週間経ったら、裁判所に控訴状が出ているか確認し、出ていなければ判決の確定証明書を貰ってください。
これで離婚は成立するのですが、市区町村役場は離婚裁判をしていることを知らないので、このままでは戸籍上は結婚したままになってしまいます。
そこで、判決謄本と確定証明、離婚届(あなたの欄のみ記載)を市区町村役場に提出する必要があります。
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監修弁護士紹介
弁護士 本 田 幸 則(登録番号36255)
・2005年 旧司法試験合格
・2007年 弁護士登録
弁護士になってすぐのころは、所属事務所にて、一般的な民事事件はもちろん、行政訴訟や刑事事件、企業法務まで担当しました。
独立後は、身近な問題を取り扱いたいと思い、離婚や相続などに注力しています。
ご相談においては、長期的な視野から依頼者にとって何がベストなのかを考え、交渉から裁判まであらゆる手段を視野に入れてアドバイスいたします。
弁護士 鈴 木 淳(登録番号47284)
・2006年 早稲田大学法学部卒業
・2006年 法務省入省(国家Ⅰ種法律職)
・2011年 明治大学法科大学院修了
・2011年 新司法試験合格
・2012年 弁護士登録
一般民事事件や中小企業法務を中心として、交渉から裁判まで、様々な分野の案件を担当してきました。
この度、なごみ法律事務所の理念に共感し、市民の方の生活に密着した問題や、経営者の日常的に接する問題を重点的に扱いたいと考え、執務することとなりました。
ご依頼者と同じ目線に立ちながら、最善の解決策を共に考えてゆきたいと思います。