離婚調停や離婚裁判中でも婚姻費用を請求できます
離婚裁判をしているなど、婚姻関係が破綻しているといえるような場合、婚姻費用の請求は制限されるのでしょうか?
この点について、離婚裁判中など、婚姻関係が破綻しているような場合でも、離婚が成立するまでは、婚姻費用の請求が認められるという裁判例が主流です。
理由としては、婚姻費用の支払義務は、婚姻という法律上の身分関係から生じる義務であるから、事実上婚姻関係が破綻していても、法律上の身分関係の解消(離婚)がない限り、婚姻費用の支払義務がなくなることはないとされています。
要するに、何かをしてもらったから、お金を支払う、何かをしてもらえなかったから、お金を支払わないという性質のものではない、ということです。
また、実質的理由として、婚姻費用が問題となるのは、夫婦関係が上手く行かなくなったからであって、夫婦関係が円満なうちは問題とはならない。
そうであるにもかかわらず、夫婦関係が悪化したことを理由に、婚姻費用の請求を制限したのでは、婚姻費用の請求が認められる場面がなくなる、ということもあります。
手続上の問題としても、婚姻費用を決めるに当たり、婚姻費用を支払わなくても良いほど悪化しているのか、それとも金額が制限される程度なのか、金額が制限されるとすれば、どの程度なのかと言うことを認定しないといけなくなり、婚姻費用が日々の生活費であり、迅速に決めなければならないのに、それができなくなる、ということがあります。
もっとも、少数ながら、婚姻関係の破綻の程度によって、婚姻費用を制限すべきであるとの考え方もあるため、調停などで、このような考えの調停委員や裁判官に当ってしまった場合には、婚姻費用は制限されない旨が記載された文献や裁判例を提出する必要があります。
なお、婚姻費用の適正額については、裁判所が公表している婚姻費用算定表をご覧ください。
監修弁護士紹介
弁護士 本 田 幸 則(登録番号36255)
・2005年 旧司法試験合格
・2007年 弁護士登録
弁護士になってすぐのころは、所属事務所にて、一般的な民事事件はもちろん、行政訴訟や刑事事件、企業法務まで担当しました。
独立後は、身近な問題を取り扱いたいと思い、離婚や相続などに注力しています。
ご相談においては、長期的な視野から依頼者にとって何がベストなのかを考え、交渉から裁判まであらゆる手段を視野に入れてアドバイスいたします。
弁護士 鈴 木 淳(登録番号47284)
・2006年 早稲田大学法学部卒業
・2006年 法務省入省(国家Ⅰ種法律職)
・2011年 明治大学法科大学院修了
・2011年 新司法試験合格
・2012年 弁護士登録
一般民事事件や中小企業法務を中心として、交渉から裁判まで、様々な分野の案件を担当してきました。
この度、なごみ法律事務所の理念に共感し、市民の方の生活に密着した問題や、経営者の日常的に接する問題を重点的に扱いたいと考え、執務することとなりました。
ご依頼者と同じ目線に立ちながら、最善の解決策を共に考えてゆきたいと思います。