遺産分割のときの不動産の評価方法は?

2018-05-17

遺産(相続財産)の中に不動産があると、その不動産を誰が取得するのか、不動産を取得することになる相続人が、他の相続人にいくら払えばいいのか、といったことでもめてしまうことがあります。

親族間の争いになるので、話し合いで解決できればそれに越したことはありませんが、どうしても合意できず調停や審判になった場合には以下のように考えられます。

 

1 不動産を誰が取得するのか?

そもそも、遺産の中にある不動産を誰が取得するのかでもめるケースがあります。

自宅の場合は、今後も住み続ける相続人の名義にしておいた方が、将来、相続人間でトラブルが発生した場合に家を出ていかなければならないという事態にならないように単独名義にしておいた方がいいでしょう。

別荘などの場合でも、将来、売却する可能性を考えた場合に、共有名義だと、売却に際して、共有者全員の同意が必要で登記手続きなども面倒になることを考えると、できれば単独名義にしておいた方がいいでしょう。

 

では、だれが取得することになるのかですが、それは話し合いで決めるしかありません。

どうしても話し合いで決着がつかない場合は、共有にしておかざるを得ないでしょう。

 

共有もイヤだという場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申立てたり、一旦共有にして、地方裁判所に共有物分割請求訴訟を提起せざるを得ません。

 

2 不動産を取得する相続人は、他の相続人にいくら払えばいいのか?

 

不動産を相続割合に応じて共有にする場合は不動産価格がいくらなのかは問題になりませんが、誰か1人が取得する場合は、取得した相続人は、他の相続人に不動産価格×相続割合に相当する金額(代償金)を支払うことになります。

もちろん、不動産のほかにも多額の預貯金があるなどの場合は、そちらで調整しても構いません。

 

このように代償金を支払ったり、他の相続財産で調整する場合、不動産をいくらと評価するかでもめてしまうことがあります。

具体的には、①いつの時点の価格を基準にするのか、②価格の算定方法はどうするのか、という2点が問題になります。

 

① いつの時点の価格を基準にするのか

不動産価格は日々変動するため、いつの時点を基準に価格を算定するのかが問題になります。

この点、遺産分割に関しては、遺産分割時を基準に算定します。

 

なぜなら、今まさに分けようとしているときにその価値があるのですから、不服があれば売ってしまえばいいからです。

これを被相続人死亡時などにすると、もし不動産が値上がりしていたら、だれもが不動産を欲しがり遺産分割がまとまらなくなってしまいます。

逆に、不動産が死亡時より値下がりすると、だれもそんな土地は欲しがらず、遺産分割がまとまらなくなります。

 

注意が必要なのは、「遺産分割に関しては」という点です。

特別受益と寄与分を算出する際には、相続開始時を基準として価格を算定します。

 

② 価格の算定方法は?

不動産の価格については、相続財産を公平に分ける観点からすれば、実際の取引価格とするのが望ましいところです。

この点について合意ができないと、裁判所が指定する不動産鑑定士による鑑定価格となります。

 

もっとも、不動産鑑定士に依頼すると、不動産の広さや特殊性などにもよりますが、30万円程度はかかってしまうため、実際には、関係者が不動産会社に依頼して出した査定額の平均で決めることが多くあります

 

なお、ほかに、公示価格、都道府県地価調査標準価格、固定資産税評価額、相続税評価額(路線価)などが主張されることがあり、当事者間で合意ができれば、それらが採用されます。

 

・公示価格

国土交通省の土地鑑定委員会が、標準地を決めて毎年1月1日の価格を公表するものです。

特殊事情がなければ取引が成立するであろう価格ということで、実際の売買価格に近いものとなりますが、標準地以外の場所は、標準地の金額を修正して金額を求めることになるため、ここに恣意的な要素が入る余地があります。

 

・都道府県地価調査標準価格

都道府県による公示価格と考えてよいでしょう。

国による公示価格と異なり、山林等も評価されるため、相続財産に山林が含まれる場合は参考になります。

 

・固定資産税評価額

税金をかけるための基準価格です。

3年に1度の見直しであること、土地に関しては公示価格の70%を目安に価格が決められていることから、この価格がそのまま採用されることは、まずないでしょう。

これを参考にする場合には、30%分上乗せして主張することになります。

他方、建物に関しては固定資産税評価額がそのまま利用されることもあります。

 

・相続税評価額(路線価)

相続税、贈与税を付加するための基準価格です。

価格は、公示価格の80%程度を目安にされています。

そのため、この価格を基準とする場合には20%程度上乗せして考えることになります。

また、この価格を参考にする場合には、特例措置により減額されていないか注意する必要があります。

 

 

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