面会交流の間接強制2017.3

2017-03-24

面会交流の間接強制については、2015年にもコラムを書いておりますが、判例タイムズ2017年3月号に裁判官の論文が載っておりましたので、同論文に記載された現時点での裁判官の考え方をご紹介します。

 

1 前提

まず、面会交流について間接強制ができるとした最高裁判所の判決は2013年であり、その後の6年間の事例分析であること、現時点で裁判所で統一した見解がない状況であることが述べられています。

しかし、現時点では最も現場の裁判官の感覚に近い考え方だと思います。

2 間接強制可能な審判をするのが相当な場合

次に、そもそも間接強制が可能な内容の審判をすべき場合について述べられています。

 

なぜ、このようなことを論じるかですが、最高裁判所が「面会交流について定める場合、子の利益が最も優先して考慮されるべきであり、面会交流は、柔軟に対応することができる条項に基づき、監護親と非監護親の協力の下で実施されるのが望ましい」としているからです。

 

この論文でも同趣旨の考えから、原則的には面会交流の審判については、ある程度融通が利くような内容としておき、両親の協力関係が築けない場合に例外的に間接強制ができる審判とすべきと述べています。

具体的には、監護親の意思のみによって面会交流が実現可能なこと(子供が小さい場合など)を前提に以下の場合を目安とすると述べています。

⑴ 既に調停、裁判上の和解又は審判において面会交流が認められたものの、それらの条件では面会交流が実現できず、改めて調停や審判が申立てられた場合

⑵ 面会交流を禁止・制限すべき事由が認められないのに、監護親が面会の実施を強く拒否している場合

⑶ 監護親が調停に出頭しない場合や家庭裁判所調査官による事実の調査に応じない場合

 

3 間接強制が認められる審判条項

以前書いたコラムでも紹介しましたが、最高裁判所は、間接強制をするためには以下のことが決まっていることが必要としています。

 

①面会交流の日時又は頻度
②各回の面会交流時間の長さ
③子の引渡し方法
によって監護親がすべき給付の内容が特定されていること

 

今回の論文では、これらについての具体例が示されているので紹介します。

 

① 面会交流の日時又は頻度

最低限「1か月に1回」などの形で頻度を決める。

「毎月第1土曜日」などのように実施日を特定することが望ましい。

 

代替日も定めるのが相当であり、協議ができそうにない場合は、

「未成年者の学校行事、体調不良等やむを得ない事情により第1土曜日での面会交流の実施ができない場合には、第2、第3、第4、第5の各土曜日の順に代替日を定める」

などとする。

 

詳細を協議で決められそうな場合には、たとえば、以下のような文言が考えられる。

「相手方は、申立人に対し、未成年者の土曜日及び日曜日の学校行事予定を、学校から配布された後速やかにその写しを送付する。」

「相手方は面会交流の日程調整未了の月の土曜日又は日曜日に未成年者の予定が入ったときは、申立人に対して随時連絡する。」

 

②各回の面会交流時間の長さ

少なくとも「1回につき2時間」等と定める。

 

面会開始時間等について協議ができそうになり場合は、以下のように定める。

「午前10時から午後0時まで」

 

子供の年齢等に応じて変更する場合には以下のように定める。

「平成28年4月から同年9月までの間は午前10時から午後11時、同年10月から平成29年3月までの間は午前10時から午後0時」

「本審判が確定した日の翌月から6か月は1時間、その後は2時間」

 

 

③子の引渡し方法

引き渡しの場所の記載が必要だが、協議により定める余地を残しておいても問題はない。

たとえば以下のような内容が考えられる。

「未成年者の引き渡し場所は●●駅××口とする」

「●●又は相手方が指定した場所とする」

「●●駅××口又は当事者双方で合意する場所とする」

 

引き渡し場所だけでなく各当事者の具体的行動を定めることが望ましい。

たとえば以下のような内容が考えられる。

「相手方は面会開始時に未成年者を引き渡し場所において申立人に引き渡し、申立人は面会終了時に未成年者を引き渡し場所において相手方に引き渡す」

 

4 終わりに

上記のとおり、間接強制可能な面会交流審判の条項に関する裁判官の論文をご紹介しましたが、同論文にもあるとおり、原則は子供の福祉を考慮して臨機応変に対応するのが望ましいのはいうまでもありません。

離婚の原因は色々あるでしょうが、子供のことは離婚理由とは割り切って考えていただきたいと思います。

 

 

 

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