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婚姻費用や養育費をとりあえず支払ってもらう

婚姻費用や養育費について話し合いがまとまらない場合、調停を申立て、それでも合意ができない場合は、審判や裁判によって裁判所が決めることになりますが、調停や審判で決まるまでに短くても数ヶ月かかるため、少なくても良いので、とりあえず一定の金額を支払って欲しいということがあると思います。

その場合、①調停中に暫定支払の合意をするという方法と、②審判前の保全処分という方法で、一定の金額を比較的短期間に支払ってもらえる可能性があります。

1 暫定支払い

調停は、話し合いですが、強硬な手段を執ってしまうと、その後の話し合いが上手くいかなくなる可能性が高まります。

話し合いが進まないのは困るけれども、婚姻費用や養育費をとりあえず支払って欲しいというときに行われるのが、暫定支払いという手段です。

これは、無理矢理取り立てるのではなく、調停手続の中で、調停委員の方に間に入ってもらい、ある程度の金額を支払うことに相手に納得してもらう方法です。

暫定的な合意なので、ここで行われた合意の金額で不足する場合には、調停の最後、あるいは審判や裁判の際に調整されます。

この合意を破った場合に強制的に取り立てる方法はありませんが、合意を破ると裁判官の印象が非常に悪くなるので、良識のある相手であれば一定の効果が期待できます。

2 審判前の保全処分

相手が暫定支払に応じないことが確実な場合には、審判前の保全処分という手続を行うことが考えられます。

これは、調停での合意や審判を待っていられないので、仮払いを裁判所が強制するもので、家事事件手続法105条に定められています。

家事事件手続法105条
家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所は、この法律の定めるところにより、仮差押え、仮処分、財産の管理者の選任その他の必要な保全処分を命ずる審判をすることができる。

「家事審判事件(家事調停事件)が係属する」と書いてありますが、調停申立てと同時に保全処分の申立を行うことも可能です。

なお、審判前保全処分のうち統計上半分は、本体の婚姻費用分担請求より先になされることはなく、同時に決定または本体の決定に伴って取下げとなっています。

当職の経験上も、保全処分が認められたのは、預貯金をすべて開示して、今まさに生活費がなくて食べるものも食べられない、学費も払えないという状況の場合だけで、ほとんどが保全の決定をされないまま終わるか、相手に暫定払いを約束させるから取り下げてほしいといわれて終わっています。

 

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