財産分与の基準時と評価時
2015-04-04
1 財産分与の基準時
多くの場合、離婚を決意してから、離婚に至るまで時間がかかります。
その間も財産は増減しているので、いったいどの時点の財産を基準に財産分与をするのかが問題になることがあります。
この場合、原則として別居(同居のまま離婚に至った場合は離婚時)とするのが裁判例です。
なぜなら、財産分与は、夫婦で協力して得た財産を、離婚に際して分けましょうという制度であるところ、別居後は夫婦の協力はないと考えられるからです。
ですから、別居時にあった財産が、その後に生活費のレベルをこえて費消されていた場合、その財産はあるものと仮定して財産分与がなされることになります。
2 財産分与の評価時
財産が預貯金しかない場合、別居時の金額を基準に財産分与をすることで問題となることはありませんが、不動産や株式などがある場合、いつの時点の金額を基準とするのかが問題となります。
この点については、判断の直近を基準とするのが裁判例です。
例えば、離婚と同時に財産分与を請求する場合は、調停が不成立になると裁判になりますが、その裁判の口頭弁論終結時(判決の直前の期日)が基準になります。離婚後に財産分与を請求する場合は、調停が不成立になると審判になりますが、その場合は審判時が基準となります。
とはいっても、厳密に口頭弁論終結時の瞬間の価格とするのは不可能ですから、裁判途中で出した査定や鑑定から大幅な価値の増減がなければ、その査定や鑑定結果に基づいて判断されることが多いように思います。
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