モラハラによる離婚

2015-05-18

相手のモラハラ(モラルハラスメント)が原因で離婚したいという相談者も多くいらっしゃいます。
モラハラとは、精神的暴力のことをいいます。
モラハラも、理論的には民法770条1項5号「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」にあたり、離婚原因になりますが、実際にはモラハラを原因として離婚や慰謝料を求めるのは簡単ではありません。
その理由は、大きく3つあります。

 

1 証拠がない

モラハラは、精神的暴力なので、身体的な暴力のようにケガが残ったり、物が壊れたりしません。
証拠として効果的なものの一つとしてメールがありますが、メールでモラハラなやりとりをすることは多くありませんし、数が少ないと夫婦喧嘩の際の売り言葉に買い言葉と判断されかねません。
録音・録画も効果的ですが、モラハラ行為は日々の生活のなかで突然行われるので、タイミング良く録音や録画をするのは難しいと思います。
とくに、「無視をする」というモラハラの場合、そもそもモラハラの状況を音として残すのは難しいでしょう。
他にも、日記をつけたり、事情を知っている人物に証人になって欲しいとお願いするなどの方法もあります。
しかし、日記は本人が自由に書けるものですから、録音や録画ほどは証拠として価値はありません。
日記を証拠として使う場合は、裁判官に、「後から創作したとは考えにくいな」といえる程度に具体的に書いたり、客観的事実と関連づけながら書くことが望ましいです。
また、証人も間接的に知っているだけでは証拠としての価値が低いので、モラハラを直接見聞きしていることが望ましいですが、そのような証人を見つけるのは難しいことが多いと思います。

 

上記のいずれの証拠を確保する場合でも問題となるのは、「証拠を確保するまで、しばらくはモラハラに堪えないといけない」ということです。
場合によっては、精神的安定のために、裁判上の有利さをあきらめないといけなくなります。

 

2 一つ一つの行為が軽微

モラハラが、多くの人がいる場で、あまりにも常識外れな行為であれば分かりやすいのですが、たいていの場合は、家庭内での非常識な発言です。
発言も非常識な要求を明確にするのであれば良い方です。
なかには、あなたが言ったという形にするために、自分ははっきりとは言わずに巧みに誘導したり、あなたが言い出すまで無視したりということもあります。
こうなると、裁判官に分かってもらうのは大変です。
裁判官に理解してもらうためには、前後の事情から詳しく説明することになります。
このとき、一つ一つが軽微なモラハラの場合、いくつもエピソードを書く必要がありますが、あまりにも軽微な物までダラダラと書くとポイントがぼけてしまって、かえって分かりづらいこともあります。

 

3 相手がモラハラと思っていない

上記の通り、モラハラを裁判官に認めてもらうのは難しい場合が多いので、証拠が少ない場合には、協議離婚が出来ればベストなのですが、ほとんどの場合、モラハラをしている本人は、自分自身の行為をモラハラとは思っていません。
ですから、相手に非を認めさせて離婚することは、かなり難しいです。

 

4 どうすればいいのか?

以上のとおり、残念ながらモラハラを原因とする離婚は簡単ではありません。
ですから、「モラハラかな?」と思ったら、詳細に日記なのどに残しておいてください。
早めに周りの人に相談することも重要です。
ただし、相談相手から相談内容が漏れる可能性もあるので、十分注意してください。

 

また、上記の通りモラハラを証明するのは難しいので、離婚に際してある程度妥協することが必要な場合もあります。
たとえば、慰謝料額を減額するとか、モラハラで謝罪を受けることをあきらめて解決金として実質的な慰謝料をもらうなどです。
裁判に踏み切った場合でも、裁判の途中で、裁判官の反応を見ながら、和解できないかを考える必要もあります。

 

なお、モラハラを原因として慰謝料が認められる場合、モラハラの程度に応じて慰謝料の金額は様々ですが、多くの場合は300万円以下です。

 

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