特別受益の基礎

2016-05-13

特別受益とは、相続人(亡くなった方)が、一部の相続人に贈与などをしていた場合に、その贈与していた分を考慮して遺産分割を考えようという制度です。

 

特別受益については、民法903条1項に以下のように規定されています。
「共同相続人の中に被相続人から遺贈を受け、又は、婚姻、養子縁組、生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始時に有した財産の価額に、贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前3条により算定した相続分の中からその遺贈、贈与の価額を控除した残額を、その者の相続分とする」

 

長いので分かりにくいのですが、要するに、遺産分割を考えるにあたって、既にもらっている贈与分を、実際にある相続財産にプラスした金額を計算上の相続財産(「みなし相続財産」といいます)として考えましょうということです。

 

ただし、903条3項で「被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する。」と定められているので、亡くなった方が、生前贈与などの分を遺産分割において考慮しないような意思表示をしていた場合には、特別受益という考え方はしません。

 

例えば、被相続人Aさんに、子供が2人(BとC)いて、Aさんが亡くなった時の財産が1000万円あり、生前AさんはBさんのみに400万円贈与していたとします。
この場合、Bさんへの贈与分を、Aさんの相続財産に戻して、Aさんの相続財産は1400万円あると考えます(みなし相続財産 あくまでも計算上のことで実際に400万円を戻すわけではありません)。
これをBとCで分けるので、BとCの相続分は、各700万円となります。
Bは、すでに生前贈与として400万円もらっているので、1000万円の中から、あと300万円もらい、Cは700万円もらうことになります。

 

2 超過特別受益

この事例ですと、問題はありませんが、生前贈与額が大きくて、上記の計算をするとマイナスになる場合があります。
これを超過特別受益といったりしますが、この場合の処理について、民法903条2項は以下のように規定しています。
「遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。」

 

要するに、「多くもらっていても返す必要はありませんよ」ということです。

 

もっとも、もらっていた人については条文から明らかなのですが、残りの相続人の相続割合については条文には書かれていません。
この点については、裁判(審判)例が分かれており、明確な基準がありませんが、以下の2つの考え方のいずれかとされることが多いようです。

 

①法定相続割合に応じてマイナス分を負担する(本来的相続分基準説)

 

Aが亡くなって、配偶者のB、子供のCとDがいるとします。
Aの相続財産は3000万円ありましたが、Bは生前に600万円、Cは2000万円の贈与を受けていたとします。

 

特別受益を考慮した相続分は、
みなし相続財産=3000万円+600万円+2000万円=5600万円
これを法定相続割合分けると、
B:5600万円×1/2=2800万円
C:5600万円×1/4=1400万円
D:5600万円×1/4=1400万円
すでにもらっている分を考慮した計算上の相続分は、
B:2800万円-600万円=2200万円
C:1400万円-2000万円=-600万円
D:1400万円
となります。

 

このCの-600万円の負担割合を、法定相続割合で負担します。
Bの法定相続割合は1/2、Dは1/4ですから、2:1の割合で負担する、つまり、
C:-600万円×2/3=-400万円
D:-600万円×1/3=-200万円
を負担することになります。
ですから、先ほどの計算上の相続分に上記負担分を考慮すると、
Bの実際の相続分:2200万円-400万円=1800万円
Dの実際の相続分:1400万円-200万円=1200万円
となります。

 

②計算上の相続金額に応じてマイナス分を負担する(具体的相続分基準説)

 

マイナス分の負担割合を、計算上の相続金額に応じて負担しようという考え方です。
上記の事例で考えると、
Bが負担するマイナス割合:Bの計算上の相続額/超過特別受益者以外の計算上の相続額の合計=2200万円÷(2200万円+1400万円)=22/36
Bが負担するマイナス金額=-600万円×(22/36)≒366万円
Bの実際の相続分:2200万円-366万円=1834万円
となります。
Dも同様に計算すれば、1166万円となります。

 

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