同性婚・パートナーシップ解消時の財産分与、慰謝料

2019-02-01

日本の法律は同性での結婚は認めていませんが、LGBT問題がクローズアップされるとともに、パートナーシップ関係を証明する条例を設ける自治体が増えてきています。

それとともに、パートナーシップ関係の解消に関するトラブルも増えているようです。

とくに問題になるのが、共同生活中に得た財産をどのように分けるかと、不貞慰謝料が認められるかです。

以下、順に説明します。

 

1 同性婚・パートナーシップ解消時に財産分与が認められるか?

民法は、離婚時に財産分与を請求できると定めています(民法768条)が、同性婚については何も規定していません。

では、同性婚解消時に、離婚の場合のように財産分与が認められるでしょうか?

 

この点について明確に判断した裁判例は見つけられませんでしたが、認められる可能性が高いと考えます。

 

なぜなら、内縁関係は、婚姻に準じる関係であることを理由に、民法の離婚時の財産分与に関する規定を準用して認められます。

内縁に関する財産分与は、どの裁判例や法律書でも異性間を前提としていますが、同性であっても内縁と同様に実質的には夫婦といえる関係になることは可能です。

また、財産分与は、夫婦が協力して築いた財産を離婚にあたり精算することを主目的とする制度ですので、パートナーシップであっても、夫婦と同様に協力して財産を築いたといえる場合には財産分与制度の趣旨に合致します。

 

では、具体的にどのような関係であれば財産分与が認められる可能性が高いのかですが、裁判例がないため明確には申し上げられませんが、内縁の場合に準じて考えてよいかと思います。

具体的には、①社会通念上の夫婦となる意思があり、②共同生活の実体がある場合には、パートナーシップ解消時に財産分与が認められる可能性があると思われます。

 

①社会通念上の夫婦となる意思については、住民票上同一世帯になっていたり、ある程度の期間共同生活が継続していること、結婚式などを行ったことなどの事実から推認することになります。

 

②夫婦共同生活の実体については、原則として同居していることが必要になりますが、長期入院してる場合など、同居していなくても夫婦共同生活の実体があると認められる場合がります。

 

なお、パートナーシップ条例がある自治体では、パートナーシップの届け出をしていれば、婚姻に準じて扱われるので、①と②を別途証明する必要はないと考えられます。

 

 

上記のような事実から、同性婚と認められる場合には、共同生活中に得た財産については、共有財産と推認され2分の1を財産分与として請求できると考えます。

 

 

では、財産分与が認められそうだという場合、相手が任意に支払ってくれればいいですが、そうでない場合、どのような手続きを取ればよいでしょうか?

 

この点について、法律は明記しておりませんが、婚姻に準じて考えるとすると、家庭裁判所で財産分与調停を行い、合意に至らない場合は審判となると思われます。

 

 

上記は事実婚が認められた場合ですが、事実婚と認められなかったけれど、お互いに支出して高価なものを買っていたような場合に、なんとかその分を取り返せないのでしょうか?

 

そのような場合は、財産分与請求ではなく、その物を買うのに自分もお金を出したから共有だと主張し、共有物分割請求をするしかないでしょう。

その場合は、地方裁判所に、共有物分割請求訴訟を提起することになります。

 

なお、訴訟まではしたくないという場合は、簡易裁判所に民事調停を申し立てるという方法もあります。

 

 

2 同性婚、パートナーシップにおいて不貞慰謝料などを請求できるか?

同性婚、パートナーシップ契約をした相手が、他の人物と浮気をしている場合や、一方的にパートナーシップを解消すると言ってきた場合に慰謝料を請求できるでしょうか?

 

この点も内縁(事実婚)の場合に慰謝料請求が認められていることからすれば、同性婚においても認めらえる可能性が高いと考えます。

 

もっとも、不貞とは、性交渉をいうと考えられているため、同性婚の場合、厳密な意味では不貞はありえないとなってしまいそうです。

 

この点は、強姦罪が強制性交罪に改正されたことからしても、不貞の定義を性交類似行為まで広げる解釈も考えられます。

 

また、慰謝料が認められるのは、婚姻関係を破壊するような行為を行ったからですから、夫婦の信頼関係を破壊するような行為があればよく、「不貞」という言葉にこだわらなくてもよいかもしれません。

 

 

3 最後に

なにぶん裁判例が見当たらない問題ですので明確に申し上げることはできませんが、理論的には同性婚においても婚姻に準じて損害賠償(慰謝料)や財産分与が認められることは十分に考えらえれます。

ですから、事実婚、パートナーシップ関係解消や、その条件にどうしても納得がいかないという場合は、ぜひ一度ご相談ください。

 

 

 

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弁護士 本 田 幸 則
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