円満調停に対して離婚調停を申立てるべき?
「相手から円満調停を起こされたんですが、離婚したいんです」という相談を受けることがあります。
そのような円満調停を起こされた場合に、こちらからも離婚調停を申立てるべきでしょうか?
結論からいうと、法的には離婚調停を申立てる意味はありませんが、調停を早く進めるために離婚調停を申立てた方が良いでしょう。
なぜなら、離婚調停を起こすことで、調停委員と相手方に離婚意思を明確に示すとともに、離婚条件を伝えることで、調停1回目から離婚について具体的な話ができる可能性があるからです。
もし、相手からの円満調停に対し、回答書を出すだけ(あるいは何もしない)ですと、1回目の調停は、夫婦関係の修復の可能性のみが話題となってしまう可能性があります。
仮にあなたが1回目の調停で離婚条件を提示しても、「今初めて聞いたので,検討します」という回答が返ってきて、1回目はほとんど意味がないということになるでしょう。
では、円満調停を2回、3回と続けたあとに離婚調停を申立てる意味はあるのでしょうか?
私は、申立てる意味はないと考えています。
なぜなら、2回目、3回目の調停で、離婚意思と、離婚条件は相手にも裁判所にも伝わっていて、実質的に話し合えているはずだからです。
そして、申立理由が円満調停であっても、離婚の成立という形で調停を成立させることは可能です。
仮に調停が成立しなかったとしても、円満調停の不成立は、調停前置主義(離婚裁判の前には調停をしなければならない原則)を満たすことになるので、円満調停不成立を理由に離婚裁判を起こせるため、あえて離婚調停を起こす意味はないと考えます。
なごみ法律事務所
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監修弁護士紹介
弁護士 本 田 幸 則(登録番号36255)
・2005年 旧司法試験合格
・2007年 弁護士登録
弁護士になってすぐのころは、所属事務所にて、一般的な民事事件はもちろん、行政訴訟や刑事事件、企業法務まで担当しました。
独立後は、身近な問題を取り扱いたいと思い、離婚や相続などに注力しています。
ご相談においては、長期的な視野から依頼者にとって何がベストなのかを考え、交渉から裁判まであらゆる手段を視野に入れてアドバイスいたします。
弁護士 鈴 木 淳(登録番号47284)
・2006年 早稲田大学法学部卒業
・2006年 法務省入省(国家Ⅰ種法律職)
・2011年 明治大学法科大学院修了
・2011年 新司法試験合格
・2012年 弁護士登録
一般民事事件や中小企業法務を中心として、交渉から裁判まで、様々な分野の案件を担当してきました。
この度、なごみ法律事務所の理念に共感し、市民の方の生活に密着した問題や、経営者の日常的に接する問題を重点的に扱いたいと考え、執務することとなりました。
ご依頼者と同じ目線に立ちながら、最善の解決策を共に考えてゆきたいと思います。