内容証明郵便そのものに法的効果はありません
ときどき、「内容証明郵便を送ったのに無視された」とか、「内容証明郵便が送られてきたんですが、書かれていることに同意しないと、何かペナルティがあるんですか?」といった質問を受けます。
結論から申し上げると、内容証明郵便そのものに、何らかの法的効果があるわけではありません。
内容証明郵便とは、郵便局に、相手に送った書面と同内容の書面を保管してくれるサービスですされることです。
これによって、あとで、どんな内容の書面を送ったかが問題になったときに、明確な証拠が残ります。
通常は、配達証明をつけるので、その書面をいつ受け取ったかも分かります。
では、なぜ弁護士は内容証明郵便を利用することが多いのかというと、証拠として残したいというのが主たる理由です。
たとえば、お金を貸したけれど返してくれない、もうすぐ時効になるという場合、時効を止めるには、相手の承認をもらうか、裁判を起こす必要があります。
しかし、承認がもらえるとは限りませんし、裁判の準備には時間がかかります。
その場合、催告をすると、その催告をしてから6か月以内に裁判をすると時効は成立していないと扱われます。
催告とは、請求のことですが、この請求があったかなかったかで時効になるかどうかが変わりますから、証拠として残すことが重要となるのです。
その他にも、契約関係は、基本的には当事者の合意で成立しますから、意思表示の有無が重要になる場面が多いのですが、重要な意思表示の場合に、あとで「言った、言わない」という争いにならないように内容証明郵便(配達証明付き)を利用します。
なお、冒頭に書いたように、内容証明郵便が送られてきたということ自体にプレッシャーを感じる方もいるので、その心理的効果をねらって内容証明郵便を利用される方もいるようです。
監修弁護士紹介
弁護士 本 田 幸 則(登録番号36255)
・2005年 旧司法試験合格
・2007年 弁護士登録
弁護士になってすぐのころは、所属事務所にて、一般的な民事事件はもちろん、行政訴訟や刑事事件、企業法務まで担当しました。
独立後は、身近な問題を取り扱いたいと思い、離婚や相続などに注力しています。
ご相談においては、長期的な視野から依頼者にとって何がベストなのかを考え、交渉から裁判まであらゆる手段を視野に入れてアドバイスいたします。
弁護士 鈴 木 淳(登録番号47284)
・2006年 早稲田大学法学部卒業
・2006年 法務省入省(国家Ⅰ種法律職)
・2011年 明治大学法科大学院修了
・2011年 新司法試験合格
・2012年 弁護士登録
一般民事事件や中小企業法務を中心として、交渉から裁判まで、様々な分野の案件を担当してきました。
この度、なごみ法律事務所の理念に共感し、市民の方の生活に密着した問題や、経営者の日常的に接する問題を重点的に扱いたいと考え、執務することとなりました。
ご依頼者と同じ目線に立ちながら、最善の解決策を共に考えてゆきたいと思います。