財産分与の基準時と評価時
1 財産分与の基準時
多くの場合、離婚を決意してから、離婚に至るまで時間がかかります。
その間も財産は増減しているので、いったいどの時点の財産を基準に財産分与をするのかが問題になることがあります。
この場合、原則として別居(同居のまま離婚に至った場合は離婚時)とするのが裁判例です。
なぜなら、財産分与は、夫婦で協力して得た財産を、離婚に際して分けましょうという制度であるところ、別居後は夫婦の協力はないと考えられるからです。
ですから、別居時にあった財産が、その後に生活費のレベルをこえて費消されていた場合、その財産はあるものと仮定して財産分与がなされることになります。
2 財産分与の評価時
財産が預貯金しかない場合、別居時の金額を基準に財産分与をすることで問題となることはありませんが、不動産や株式などがある場合、いつの時点の金額を基準とするのかが問題となります。
この点については、判断の直近を基準とするのが裁判例です。
例えば、離婚と同時に財産分与を請求する場合は、調停が不成立になると裁判になりますが、その裁判の口頭弁論終結時(判決の直前の期日)が基準になります。離婚後に財産分与を請求する場合は、調停が不成立になると審判になりますが、その場合は審判時が基準となります。
とはいっても、厳密に口頭弁論終結時の瞬間の価格とするのは不可能ですから、裁判途中で出した査定や鑑定から大幅な価値の増減がなければ、その査定や鑑定結果に基づいて判断されることが多いように思います。
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監修弁護士紹介
弁護士 本 田 幸 則(登録番号36255)
・2005年 旧司法試験合格
・2007年 弁護士登録
弁護士になってすぐのころは、所属事務所にて、一般的な民事事件はもちろん、行政訴訟や刑事事件、企業法務まで担当しました。
独立後は、身近な問題を取り扱いたいと思い、離婚や相続などに注力しています。
ご相談においては、長期的な視野から依頼者にとって何がベストなのかを考え、交渉から裁判まであらゆる手段を視野に入れてアドバイスいたします。
弁護士 鈴 木 淳(登録番号47284)
・2006年 早稲田大学法学部卒業
・2006年 法務省入省(国家Ⅰ種法律職)
・2011年 明治大学法科大学院修了
・2011年 新司法試験合格
・2012年 弁護士登録
一般民事事件や中小企業法務を中心として、交渉から裁判まで、様々な分野の案件を担当してきました。
この度、なごみ法律事務所の理念に共感し、市民の方の生活に密着した問題や、経営者の日常的に接する問題を重点的に扱いたいと考え、執務することとなりました。
ご依頼者と同じ目線に立ちながら、最善の解決策を共に考えてゆきたいと思います。