生命保険の受取人を不倫相手にできるか?
不倫相手を受取人として生命保険の契約をした場合、それは有効でしょうか?
この点について、最高裁判所平成17年12月9日決定は、戸籍上の妻との関係が実質的には破綻していて、不倫相手と実質的に夫婦のような関係にあったという事案で、生命保険の受取人を不倫相手としていたことについて、不法な動機による契約締結ではないとして、不倫相手を受取人とする生命保険契約を有効としています。
他方、東京高等裁判所平成11年9月21日判決は、「死亡保険金の受取人指定は、不倫関係の維持継続を目的とし、不倫関係の対価としてされたものであり、公序良俗に反して無効であるといわざるをえない」と判示しています。
そして、生命保険契約自体は有効で、受取人部分が無効となり、相続人に生命保険金の受取り権限があるとしています。
このことから、不倫とはいっても、夫婦関係が破綻に至る前に不倫に至ったのか、既に夫婦関係が破綻していたのか、保険契約の目的が不倫相手をつなぎ止める目的のものかどうかなどの事情を総合して有効性が判断されるものといえます。
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監修弁護士紹介
弁護士 本 田 幸 則(登録番号36255)
・2005年 旧司法試験合格
・2007年 弁護士登録
弁護士になってすぐのころは、所属事務所にて、一般的な民事事件はもちろん、行政訴訟や刑事事件、企業法務まで担当しました。
独立後は、身近な問題を取り扱いたいと思い、離婚や相続などに注力しています。
ご相談においては、長期的な視野から依頼者にとって何がベストなのかを考え、交渉から裁判まであらゆる手段を視野に入れてアドバイスいたします。
弁護士 鈴 木 淳(登録番号47284)
・2006年 早稲田大学法学部卒業
・2006年 法務省入省(国家Ⅰ種法律職)
・2011年 明治大学法科大学院修了
・2011年 新司法試験合格
・2012年 弁護士登録
一般民事事件や中小企業法務を中心として、交渉から裁判まで、様々な分野の案件を担当してきました。
この度、なごみ法律事務所の理念に共感し、市民の方の生活に密着した問題や、経営者の日常的に接する問題を重点的に扱いたいと考え、執務することとなりました。
ご依頼者と同じ目線に立ちながら、最善の解決策を共に考えてゆきたいと思います。