祖父母・兄弟姉妹の面会交流権
「祖父母が孫に会いたい」、「父親に引き取られた兄弟が、母親に引き取られた兄弟に会いたい」そういった場合、法律上「会わせろ」といえるでしょうか?
祖父母が孫に会いたいとして面会交流調停や審判の申立てをすることは、ときどきあることです。
しかし、残念ながら、子供との面会交流を権利として認められるのは原則として両親に限られ、祖父母や兄弟姉妹が権利として面会交流を認められることはほとんどありません。
例外的に祖父母の面会交流が認めているケースは、私の知る限り、東京高等裁判所昭和52年12月9日決定くらいです。
同決定の概要は次のようなものです。
夫婦と子供2人が、妻の実家で妻の両親と6人で生活していましたが、妻が亡くなったため、夫は子供達を連れて妻の実家を出て行こうとしました。
しかし、妻の両親が子供達を渡すのをかたくなに拒否したため、やむなく夫は子供達を置いて出て行き、妻両親を相手として子の引渡しを請求しました。
このような事情の下で裁判所は、父親の申立てた子の引渡し請求を認めるとともに、祖父母について、子供達と2か月1回の宿泊をともなう面会を認めました。
このケースは、ずっと同居していた祖父母だったので、親に類似した立場と認定したと思われますが、極めてレアなケースです。
兄弟姉妹の面会交流権について言及しているものは、判例集等に掲載しているものは見つけることができませんでしたが、祖父母の場合と同様に認められるのは極めて例外的な場合でしょう。
なお、子供の健全な成長の観点から、祖父母や兄弟姉妹の面会交流が重要であるとして、面会交流を権利として認めている諸外国も多く、日本でも認めるべきだとの見解も有力に主張されているため、今後は認められるようになるかもしれません。
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監修弁護士紹介
弁護士 本 田 幸 則(登録番号36255)
・2005年 旧司法試験合格
・2007年 弁護士登録
弁護士になってすぐのころは、所属事務所にて、一般的な民事事件はもちろん、行政訴訟や刑事事件、企業法務まで担当しました。
独立後は、身近な問題を取り扱いたいと思い、離婚や相続などに注力しています。
ご相談においては、長期的な視野から依頼者にとって何がベストなのかを考え、交渉から裁判まであらゆる手段を視野に入れてアドバイスいたします。
弁護士 鈴 木 淳(登録番号47284)
・2006年 早稲田大学法学部卒業
・2006年 法務省入省(国家Ⅰ種法律職)
・2011年 明治大学法科大学院修了
・2011年 新司法試験合格
・2012年 弁護士登録
一般民事事件や中小企業法務を中心として、交渉から裁判まで、様々な分野の案件を担当してきました。
この度、なごみ法律事務所の理念に共感し、市民の方の生活に密着した問題や、経営者の日常的に接する問題を重点的に扱いたいと考え、執務することとなりました。
ご依頼者と同じ目線に立ちながら、最善の解決策を共に考えてゆきたいと思います。