親が戸籍を作ってくれないとき
事情は様々ですが、子供の出生届を提出せず、その結果、子供の戸籍がないという方がいらっしゃいます。
その場合、戸籍がない子供の立場からできることは以下の通りです。
1 まずは親を説得してみましょう
戸籍がなくても多くの行政サービスを受けることが出来るため、自分が無戸籍であることについて大きくなってから気づいたという方がいらっしゃいます。
この場合、親が出生届けを出してくれるのが一番簡単です。
生まれてから何十年も経っている場合は、届出をしなかった事情を説明する必要があるでしょうが、出生届けがあり、その他の資料から母子関係が確実といえれば受け付けないということはないはずです。
もっとも、夫のDVから必死に逃げてきた方などは、たとえ何年経っていても怖くて出せないという方もいらっしゃいます。
2 だめなら法務局で就籍届けを
親が出生届けを出してくれない場合は、法務局で就籍届というものをすることになります。
就籍届とは、出生届は出されていなけれど、母子関係があることが確実といえる場合に特別に戸籍に記載される制度です。
ですから、届出をする際には、母子関係を証明する資料を提出する必要があります。
例えば、出生証明書や母子手帳、学校の在籍記録などが証拠になります。
無戸籍問題については近年国も力を入れており、法務省のサイトにも解説があるので、法務局の窓口で相談してみてください。
3 それでもダメなら家庭裁判所で親子関係存在確認の手続を
法務局が調べてくれたけれども母子関係があることが確実とまではいえないと判断されてしまった場合は、家庭裁判所で親を相手方として、親子関係存在確認調停を申立てることになります。
そこで、母子関係を示す資料のほか当事者の話を聞いて、裁判官が母子関係があることが確実と考えた場合には、和解に代わる審判という手続で母子関係を認めてくれるので、その審判書と確定証明をもって市区町村役場で手続をします。
もし、調停に母親が出席してくれないなどの理由で母子関係が認められなかった場合には、親子関係存在確認の裁判をすることになります。
この手続で母子関係が認められた場合には、判決謄本と確定証明をもって市区町村役場で手続をします。
監修弁護士紹介
弁護士 本 田 幸 則(登録番号36255)
・2005年 旧司法試験合格
・2007年 弁護士登録
弁護士になってすぐのころは、所属事務所にて、一般的な民事事件はもちろん、行政訴訟や刑事事件、企業法務まで担当しました。
独立後は、身近な問題を取り扱いたいと思い、離婚や相続などに注力しています。
ご相談においては、長期的な視野から依頼者にとって何がベストなのかを考え、交渉から裁判まであらゆる手段を視野に入れてアドバイスいたします。
弁護士 鈴 木 淳(登録番号47284)
・2006年 早稲田大学法学部卒業
・2006年 法務省入省(国家Ⅰ種法律職)
・2011年 明治大学法科大学院修了
・2011年 新司法試験合格
・2012年 弁護士登録
一般民事事件や中小企業法務を中心として、交渉から裁判まで、様々な分野の案件を担当してきました。
この度、なごみ法律事務所の理念に共感し、市民の方の生活に密着した問題や、経営者の日常的に接する問題を重点的に扱いたいと考え、執務することとなりました。
ご依頼者と同じ目線に立ちながら、最善の解決策を共に考えてゆきたいと思います。