コロナによる定額給付金の独り占め問題
新型コロナで在宅時間が増えたことをきっかけに夫婦関係が悪化し、コロナ離婚といわれる問題が生じているようです。
コロナ離婚も問題ですが、その前に、定額給付金が世帯主に支払われることになったことで、離婚を検討中の非世帯主の方が、給付金を受け取れないのではないかと心配されることも多いようです。
定額給付金については、本日(4月24日)時点で、総務省のページに記載によると、以下の内容のようです。
・4月27日時点の住民基本台帳に記載されている者に給付される。
・請求は、自治体からの郵便か、マイナンバーカードを使ったオンライン申請(対象者が14%しかいないけど・・・)。
・受領は、世帯主の口座
例外的に、DVで住民票の移動が遅れた場合は、救済される場合がある。
上記のとおりですので、離婚問題となっていて別居している場合は住民票を移動し、ご自身が世帯主となればよいということになります。
DVだと、住所が知られるのが怖いというのがあるかもしれませんが、その場合は、地方自治体の婦人相談所による「配偶者からの暴力の被害者の保護に関する証明書」などをもらえば、住民票を非開示にできます。
なお、このDV認定は、とりあえず被害者を救済しようという趣旨で、とんでもなく緩やかな認定となっています。
問題は、同居している、あるいは住民票上は同居になっていて、何らかの事情で住民票を移動できないという場合です。
この場合は、世帯分離という手続きをすれば、同じ住所でありながら世帯が異なるという扱いをされるので、定額給付金を直接受け取ることが可能です、
もっとも、デメリットもあり、健康保険を手の被扶養者として加入していた場合、世帯分離をすると別家庭になるので、自己負担で入りなおさないといけません。
では、世帯が一緒のままで何とか定額給付金を受け取れないかとなりますが、この場合は、不当利得返還請求をするしかないでしょう。
定額給付金については事例がありませんが(当たり前か・・・)、児童手当について財産分与の一部として請求した事案で、裁判所は、児童手当は政府による社会保障政策の一環であって夫婦で協力して築いた財産を分割する財産分与とは異なるため、離婚時の財産分与としては取り扱えないとしています。
そのため、離婚問題と一緒には解決できず(実際には和解で一緒に解決する場合が多いでしょうが)、別途不当利得返還請求訴訟の提起が必要となります。
監修弁護士紹介
弁護士 本 田 幸 則(登録番号36255)
・2005年 旧司法試験合格
・2007年 弁護士登録
弁護士になってすぐのころは、所属事務所にて、一般的な民事事件はもちろん、行政訴訟や刑事事件、企業法務まで担当しました。
独立後は、身近な問題を取り扱いたいと思い、離婚や相続などに注力しています。
ご相談においては、長期的な視野から依頼者にとって何がベストなのかを考え、交渉から裁判まであらゆる手段を視野に入れてアドバイスいたします。
弁護士 鈴 木 淳(登録番号47284)
・2006年 早稲田大学法学部卒業
・2006年 法務省入省(国家Ⅰ種法律職)
・2011年 明治大学法科大学院修了
・2011年 新司法試験合格
・2012年 弁護士登録
一般民事事件や中小企業法務を中心として、交渉から裁判まで、様々な分野の案件を担当してきました。
この度、なごみ法律事務所の理念に共感し、市民の方の生活に密着した問題や、経営者の日常的に接する問題を重点的に扱いたいと考え、執務することとなりました。
ご依頼者と同じ目線に立ちながら、最善の解決策を共に考えてゆきたいと思います。