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過去の婚姻費用について財産分与として事実上請求を認めた裁判例

婚姻費用や養育費は、原則として調停申し立て時が支払いスタートで、過去の分は請求できないのが原則です。

しかし、それでは、生活費を一切出さない方が得をしてしまうため、あまりにもひどい場合は、財産分与の際に一定程度考慮しようとするのが多くの裁判例です。

多くの裁判例は、過去の婚姻費用未払いは、総合考慮の一要因程度としているのですが、今回ご紹介する東京地方裁判所平成12年 9月26日判決は、婚姻費用分担請求調停で認められた金額を過去の未払い月数に当てはめて未払い婚姻費用を算出し、その金額を財産分与の際に差し引いていますのでご紹介します。

東京地方裁判所平成12年 9月26日判決の概要は次のとおりです。

原告は、昭和63年4月から平成8年3月までの未払い婚費を請求するが、昭和63年4月から平成4年4月までは未払いとの証拠はない。

よって、未払いは、平成4年5月から平成8年3月までとする。

金額は、平成8年4月申し立てられた婚姻費用分担調停で決まった金額、月7万円×未払い期間である329万円である。

これを財産分与にあたって考慮する。

 

〈コメント〉
事実上、婚姻費用の支払い義務をどこまでもさかのぼらせることを認める判断なので、これまでの裁判例と異なる取り扱いを認めるに等しい裁判例です。

他にこのような取り扱いをする裁判例を見たことがないので、レアケースで一般化はできないでしょうが、一時例として紹介します。

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