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子供が私立高校の寮に入った場合の養育費の算定という珍しい裁判例をご紹介します。
大阪高等裁判所平成28年10月13日決定は、子供が私立高校の寮に入った場合の養育費の算定方法として、次の3ステップで算出しました。
① 標準算定式で養育費を算出する。
② 寮費(約85万円)と公立学校の教育関係費(約33万円)の差額約52万円を双方の基礎収入で按分して負担とする。
③ 入寮により、生活扶助基準の食費(約4万6000円)の約6割(2万7000円)、光熱費の4分の1(1000円)が軽減されると考え、その分を養育費から減額する。
上記の生活扶助基準とは、要するに生活保護の基準です。
入寮すれば、寮費がかかる分、支出が増えますが、他方で、寮で生活する分、自宅での生活費が減少するのは当然ですから、基本となる養育費に織り込み済みの生活費を減らすのは当然でしょう。
ただ、どれくらい減らすべきかについては判断が難しいところです。
本裁判例では、具体的な根拠は示されずに、これくらいが妥当だろうということしか書いていません。
このあたりは、寮から自宅に帰る機会がどれくらいあるのかなどで個別具体的に判断せざるを得ないでしょう。
なお、本裁判例では、父親が再婚して、再婚相手の連れ子を養子にしている点も問題となりましたが、そちらについては特段目新しいことではないので省略します。
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