現代ビジネスの弁護士志望者が減っている理由に関するミスリードがひどい
現代ビジネスが2018年9月20日(木)11:00配信の記事として「司法試験の希望者が激減している理由を知っていますか?」という記事を書いていた。
なにか緻密な分析でもしているのかと思ったら、その理由は、2015年に、弁護士会が、弁護士の質を保つために、増えすぎた司法試験合格者を減らすように提言をしたからだという。
その記事によれば、司法試験受験者は以下のとおりに推移している。
2015年 8016人
2016年 6899人
2017年 5967人
2018年 5238人
たしかに2015年から減っているように見える。
でも、2015年より前にさかのぼると以下のとおりの数字となる。
2003年 4万5372人
2004年 4万3367人←法科大学院開始
2005年 3万9428人
2006年 3万2339人←新司法試験開始(旧試験と併存)
2007年 2万7913人
2008年 2万4464人
2009年 2万2613人
2010年 2万1386人←旧司法試験廃止
2011年 8771人(法科大学院の定員4571人)
2012年 8387人(法科大学院の定員4484人)
2013年 7653人(法科大学院の定員4261人)
2014年 8015人(法科大学院の定員3809人)←受験回数制限緩和改正案が成立
2015年 8016人(法科大学院の定員3169人)←受験回数制限が3回から5回に変更
2016年 6899人(法科大学院の定員2724人)
2017年 5967人 (法科大学院の定員2566人)
2018年 5238人 (法科大学院の定員2330人)
法科大学院ができて以降は、受験回数制限緩和時に若干増えた以外、ずっと減り続けてますけど・・・
しかも、近年の減少は、どう考えても、つぶれた法科大学院の分、受験生が減っただけで、2015年の弁護士会の提言は関係ないでしょ!
じゃあ、なぜ法科大学院がつぶれたのか?
合格者を出せない法科大学院が多数あったからです。
しかも、合格者が減る⇒受験者も減るという論理では、今より合格者が少ない旧司法試験時代に、今より受験者が多かったことは説明できない。
というか、悲しいけど、弁護士会に司法試験受験者数を大きく変えるほどの影響力はない(/_;)
さらに、予備試験(法科大学院に行かなくても司法試験が受けられる資格が与えられる)の受験者は、ゆるやかにだが増えている。
また、偏差値の高い大学ほど、司法試験受験生が減り、公務員試験受験者が増えているらしい(一次データが見つけられないので、断定はやめておきます)。
司法制度に関する専門家ではないので、深入りはやめておくが、私が知る同業者の意見は、大体一致している。
合格者増とはいえ受かるかどうか分からない、仮に受かっても弁護士余りで食っていけない可能性がある資格に、数百万&数年を投資するはずないだろ!
監修弁護士紹介
弁護士 本 田 幸 則(登録番号36255)
・2005年 旧司法試験合格
・2007年 弁護士登録
弁護士になってすぐのころは、所属事務所にて、一般的な民事事件はもちろん、行政訴訟や刑事事件、企業法務まで担当しました。
独立後は、身近な問題を取り扱いたいと思い、離婚や相続などに注力しています。
ご相談においては、長期的な視野から依頼者にとって何がベストなのかを考え、交渉から裁判まであらゆる手段を視野に入れてアドバイスいたします。
弁護士 鈴 木 淳(登録番号47284)
・2006年 早稲田大学法学部卒業
・2006年 法務省入省(国家Ⅰ種法律職)
・2011年 明治大学法科大学院修了
・2011年 新司法試験合格
・2012年 弁護士登録
一般民事事件や中小企業法務を中心として、交渉から裁判まで、様々な分野の案件を担当してきました。
この度、なごみ法律事務所の理念に共感し、市民の方の生活に密着した問題や、経営者の日常的に接する問題を重点的に扱いたいと考え、執務することとなりました。
ご依頼者と同じ目線に立ちながら、最善の解決策を共に考えてゆきたいと思います。