親でも子供を勝手に連れ去ると犯罪になることがあります
離婚が成立していなければ、父親にも母親にも子供について親権があります。
しかし、夫婦仲が悪くなり、別居していて、相手のところに子供がいる場合、その子を勝手に連れ去ると、「未成年者略取罪(刑法224条)」が成立することがあります。
このことについて、最高裁判所の決定があります。
最高裁判所平成17年12月6日決定は、離婚裁判中の父親が、別居している母親が育てていた2歳の子供を、子供が母親と一緒に保育園から帰宅中に背後から近付いて抱きかかえて連れ去ったという事案について、
・監護養育上それが現に必要とされるような特段の事情が認められないから、連れ去り行為に正当な理由はない
・行為態様が粗暴で強引なものであること、子が自分の生活環境についての判断・選択の能力が備わっていない2歳の幼児であること、父親に略取後の監護養育について確たる見通しがあったと認めがたいこと、から家族間における行為として社会通念上許容される行為ではない
として、子供を連れ去った父親を有罪としました。
ですから、相手が勝手に子供を連れて出たのが納得できなくても、相手のところにいる子供を勝手に連れ出そうとせず、裁判所を通じて引き渡し請求をしてください。
もっとも、この判決からは、監護養育上必要がある場合、たとえば、相手が子供を虐待していたりしていたような場合には、強引に連れ去っても違法にならない可能性があります。
逆に、別居中、あなたが育てていた子供が、相手に連れ去られた場合、誰かに相談して、「父親(母親)が子供を連れ行っても犯罪にならない」と言われても諦めないで弁護士に相談してください。
監修弁護士紹介
弁護士 本 田 幸 則(登録番号36255)
・2005年 旧司法試験合格
・2007年 弁護士登録
弁護士になってすぐのころは、所属事務所にて、一般的な民事事件はもちろん、行政訴訟や刑事事件、企業法務まで担当しました。
独立後は、身近な問題を取り扱いたいと思い、離婚や相続などに注力しています。
ご相談においては、長期的な視野から依頼者にとって何がベストなのかを考え、交渉から裁判まであらゆる手段を視野に入れてアドバイスいたします。
弁護士 鈴 木 淳(登録番号47284)
・2006年 早稲田大学法学部卒業
・2006年 法務省入省(国家Ⅰ種法律職)
・2011年 明治大学法科大学院修了
・2011年 新司法試験合格
・2012年 弁護士登録
一般民事事件や中小企業法務を中心として、交渉から裁判まで、様々な分野の案件を担当してきました。
この度、なごみ法律事務所の理念に共感し、市民の方の生活に密着した問題や、経営者の日常的に接する問題を重点的に扱いたいと考え、執務することとなりました。
ご依頼者と同じ目線に立ちながら、最善の解決策を共に考えてゆきたいと思います。