婚姻費用を支払う義務がある方から婚費分担調停を申立てられるか?
婚姻費用は、通常は、支払ってほしい方が、「支払え」という婚姻費用分担調停を申立てます。
では、婚姻費用を支払う義務がある方から婚姻費用分担調停を申立てられるでしょうか?
東京家庭裁判所は、このように義務者側からの婚姻費用分担調停申立てがされ、審判に移行したケースで、「申立人は●●円支払え」という審判を下しています(東京家裁審判平成22年11月24日)。
上記審判例は、この論点そのものについて言及はしていませんが、義務者には申立権がないとすると不適法却下となるはずです。
ところが、上記のとおり、義務者側に支払えという審判をしているので、義務者が婚姻費用分担調停を申立てることは可能という判断をしたということになります。
ところで、なぜわざわざ義務者側から、「自分は支払う」などという調停を起こしたかが気になるところですが、そのあたりの事情は書いていません。
ただ、当事務所に相談にいらっしゃる方で、
「支払う義務があるのは分かっているので支払いたいたんですけど、向こうが金額に納得しないので、適正額を教えてほしい」
というご相談は多いので、上記申立も、そのような事情から申し立てられたのでしょう。
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監修弁護士紹介
弁護士 本 田 幸 則(登録番号36255)
・2005年 旧司法試験合格
・2007年 弁護士登録
弁護士になってすぐのころは、所属事務所にて、一般的な民事事件はもちろん、行政訴訟や刑事事件、企業法務まで担当しました。
独立後は、身近な問題を取り扱いたいと思い、離婚や相続などに注力しています。
ご相談においては、長期的な視野から依頼者にとって何がベストなのかを考え、交渉から裁判まであらゆる手段を視野に入れてアドバイスいたします。
弁護士 鈴 木 淳(登録番号47284)
・2006年 早稲田大学法学部卒業
・2006年 法務省入省(国家Ⅰ種法律職)
・2011年 明治大学法科大学院修了
・2011年 新司法試験合格
・2012年 弁護士登録
一般民事事件や中小企業法務を中心として、交渉から裁判まで、様々な分野の案件を担当してきました。
この度、なごみ法律事務所の理念に共感し、市民の方の生活に密着した問題や、経営者の日常的に接する問題を重点的に扱いたいと考え、執務することとなりました。
ご依頼者と同じ目線に立ちながら、最善の解決策を共に考えてゆきたいと思います。