成人年齢が18歳になることと養育費の支払い終期の関係
2022年から成人年齢が18歳になることが決まっています。
他方で、現在の裁判例では、実際に大学に進学しているような場合を除き、養育費の支払い終期を20歳までとしているものがほとんどです。
では、成人年齢が18歳になると、養育費の支払い終期も18歳になるのでしょうか?
結論から言うと、養育費の支払い終期は20歳までで変わりません。
なぜなら、民法上の養育費支払い義務は、子供が「未成熟子」である限り認められます。
そして、「未成熟子」とは、経済的に自立できていない状態をいい、必ずしも「未成年」ではありません。
実際、本改正まで戦後はずっと成人年齢が20歳でしたが、養育費支払終期に関する裁判例を見てみると、戦後まもなくは15歳まで、高度経済成長期以降は18歳まで、昭和50年代ころから20歳までと変遷しています。
つまり、進学率の上昇とともに、未成熟子である期間も長くなり、結果的に成人年齢と一致するようになったにすぎません。
そうだとすれば、法改正により成人年齢が18歳になったとしても、大学進学率が大きく下がらない限り20歳のまま維持されるでしょう。
このことは、「民法の一部を改正する法律案に対する付帯決議」(平成30年6月12日 参議院法務委員会)の五1にも記載があります。
それほど長くないので引用します。
民法の一部を改正する法律案に対する付帯決議
五1 成年年齢と養育費負担終期は連動せず未成熟である限り養育費分担義務があることを確認するとともに、ひとり親家庭の養育費確保に向けて、養育費の取決め等について周知徹底するなど必要な措置を講ずること。
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監修弁護士紹介
弁護士 本 田 幸 則(登録番号36255)
・2005年 旧司法試験合格
・2007年 弁護士登録
弁護士になってすぐのころは、所属事務所にて、一般的な民事事件はもちろん、行政訴訟や刑事事件、企業法務まで担当しました。
独立後は、身近な問題を取り扱いたいと思い、離婚や相続などに注力しています。
ご相談においては、長期的な視野から依頼者にとって何がベストなのかを考え、交渉から裁判まであらゆる手段を視野に入れてアドバイスいたします。
弁護士 鈴 木 淳(登録番号47284)
・2006年 早稲田大学法学部卒業
・2006年 法務省入省(国家Ⅰ種法律職)
・2011年 明治大学法科大学院修了
・2011年 新司法試験合格
・2012年 弁護士登録
一般民事事件や中小企業法務を中心として、交渉から裁判まで、様々な分野の案件を担当してきました。
この度、なごみ法律事務所の理念に共感し、市民の方の生活に密着した問題や、経営者の日常的に接する問題を重点的に扱いたいと考え、執務することとなりました。
ご依頼者と同じ目線に立ちながら、最善の解決策を共に考えてゆきたいと思います。