散歩代行中に犬が見つけた落とし物の謝礼金は買い主のもの?
2017年6月10日放送のNHK生活笑百科で、犬の散歩を頼まれて散歩中に犬が見つけた落とし物について、落とし主から謝礼が支払われた場合、散歩を代行していた人のものか、犬の飼い主のものかという問題が出された。
これについて、出演されていた弁護士さんは、微妙な問題としつつも、落とし主が「わんちゃんのために」と言っていることからすれば、謝礼は買い主のものと考えるべきではないかとおっしゃっていた。
なるほど、落とし主の謝礼交付時の態度を考慮すれば、謝礼金の使途を「犬のために使うこと」と制限した贈与と考えられなくもないなとは思ったが、どうも納得できない。
そもそも「犬が拾った」といっていいのだろうか?
犬が、「あ、誰かの落とし物だ。交番に届けなければ」と思うはずがない。
犬が、「何か変わったものがあるぞ」と興味を示したものについて、散歩代行者が「あ、誰かの落とし物だ。交番に届けなければ」と思って、交番に届けたはずである。
そうだとすれば、犬は、落とし物を見つけた単なるきっかけで、拾得者は散歩代行者であるから、謝礼も散歩代行者に受け取る権利があるのではないだろうか?
仮に、落とし主が、「犬のためにお金を使って欲しいのだから、買い主にあげた趣旨だ」と言ったから、謝礼は買い主のものだとしよう。
そうすると、遺失物法28条により、拾得者は遺失者に対して報労金を請求できるのだから、散歩代行者は、「じゃあ、それとは別に私に報労金をください」ということができてしまうことになる。
こうなるのは不都合ではないだろうか?
と土曜日のちょっとした息抜きのはずが、もやもやした気持ちになって判例がないかと調べてみたが、見つけることができなかったできごとでした。
でも、何か納得できないなあ。。。
監修弁護士紹介
弁護士 本 田 幸 則(登録番号36255)
・2005年 旧司法試験合格
・2007年 弁護士登録
弁護士になってすぐのころは、所属事務所にて、一般的な民事事件はもちろん、行政訴訟や刑事事件、企業法務まで担当しました。
独立後は、身近な問題を取り扱いたいと思い、離婚や相続などに注力しています。
ご相談においては、長期的な視野から依頼者にとって何がベストなのかを考え、交渉から裁判まであらゆる手段を視野に入れてアドバイスいたします。
弁護士 鈴 木 淳(登録番号47284)
・2006年 早稲田大学法学部卒業
・2006年 法務省入省(国家Ⅰ種法律職)
・2011年 明治大学法科大学院修了
・2011年 新司法試験合格
・2012年 弁護士登録
一般民事事件や中小企業法務を中心として、交渉から裁判まで、様々な分野の案件を担当してきました。
この度、なごみ法律事務所の理念に共感し、市民の方の生活に密着した問題や、経営者の日常的に接する問題を重点的に扱いたいと考え、執務することとなりました。
ご依頼者と同じ目線に立ちながら、最善の解決策を共に考えてゆきたいと思います。