妻と別居中に浮気相手に子供ができたら婚姻費用の減額請求ができる?
夫の浮気が原因で夫婦が不仲となり、夫が出ていく形で別居となった。
その後、妻は、夫に対して婚姻費用(生活費)を請求し、夫が支払うべき婚姻費用の金額が決まった。
ところが、その後に、夫と浮気相手との間に子供ができた。
夫は、浮気相手との子供に養育費がかかることから、婚姻費用の減額を請求をした場合、請求は認められるでしょうか?
このような事例について判断したものとして、名古屋高等裁判所平成28年2月19日決定というものがあります。
同決定では、夫は、浮気相手との子についても扶養義務を負うことになるのであるから、婚姻費用を減額するべき事情の変更があるとしました。
生まれてくる子供に罪はないのですから、その子供に夫の収入の一部をさかなければならない以上、相対的に婚姻費用が減額されてしまうのはやむをえないとの考えで、法律上はそのように考えるのが自然に思います。
ただ、妻側からすれば、勝手に浮気して出ていって、子供ができたから婚姻費用を減額しますなどという主張は許しがたいでしょう。
実際、この決定の原審である岐阜家庭裁判所中津川出張所の審判では、夫からの婚姻費用減額請求は信義則に反するものとして認められませんでした。
生まれてくる子供のことを考えて婚姻費用を減額するのか、浮気された妻とその子を優先するのか、なかなか難しい問題ですし裁判例もあまりないため、本件のような事情の場合に必ず減額されるというわけではありませんが、減額される可能性が高いとはいえるでしょう。
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監修弁護士紹介
弁護士 本 田 幸 則(登録番号36255)
・2005年 旧司法試験合格
・2007年 弁護士登録
弁護士になってすぐのころは、所属事務所にて、一般的な民事事件はもちろん、行政訴訟や刑事事件、企業法務まで担当しました。
独立後は、身近な問題を取り扱いたいと思い、離婚や相続などに注力しています。
ご相談においては、長期的な視野から依頼者にとって何がベストなのかを考え、交渉から裁判まであらゆる手段を視野に入れてアドバイスいたします。
弁護士 鈴 木 淳(登録番号47284)
・2006年 早稲田大学法学部卒業
・2006年 法務省入省(国家Ⅰ種法律職)
・2011年 明治大学法科大学院修了
・2011年 新司法試験合格
・2012年 弁護士登録
一般民事事件や中小企業法務を中心として、交渉から裁判まで、様々な分野の案件を担当してきました。
この度、なごみ法律事務所の理念に共感し、市民の方の生活に密着した問題や、経営者の日常的に接する問題を重点的に扱いたいと考え、執務することとなりました。
ご依頼者と同じ目線に立ちながら、最善の解決策を共に考えてゆきたいと思います。