不倫を相手の会社にバラすのは違法?
不倫(不貞)行為を理由とする離婚相談の中で、会社にバラしてもいいかというご相談を受けることがあります。
原則として名誉毀損やプライバシー侵害として違法となるので、やめておいた方が良いでしょう。
とはいえ、グレーな部分があるのは事実です。
たとえば、配偶者と不倫相手が同じ会社に勤務している場合に、配偶者の上司などに相談するといったケースです。
名誉毀損とは、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損する行為(社会的評価を下げる行為)をいうところ、広く同僚にバラすのではなく、上司に秘密にして欲しいとお願いし相談するのでしたら、「公然と事実を摘示し」とはいえないので名誉毀損にならないのが原則です。
プライバシー侵害については、まだ一般に知られていない、普通は公開を欲しないような私生活上の事実等を公開することをいうので、形式的には当てはまりそうですが、他方で、正当な目的があり、目的達成のためにその事実を開示する必要があるなどの事情があれば違法性が阻却されます(違法でなくなる)。
そのため、夫婦関係修復のために、配偶者の上司に対し、同じ会社に勤務する配偶者と不倫相手を今後接触しないように配慮して欲しいといった相談をすることが、明らかに違法かといわれると、そうとは言い切れません。
なお、上記のような説明をし、弁護士としては会社に連絡することはできないし、たとえ本人であっても受任後に違法が疑われるような行為をするのはやめて欲しいとお願いすると、不倫の事実は隠したままで良いので、弁護士名で、会社の住所に、不倫相手宛の内容証明郵便を送って欲しいとおっしゃる方もおられます。
しかし、弁護士から内容証明郵便が届くと、同僚らは、名宛て人に何らかの法的トラブルがあったと思うでしょう。
そのようなことが分かっていながら、内容証明郵便を送ったとなると、その行為は弁護士として不適切として弁護士会から処分される可能性があるため、ご要望にはお応えできません。
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監修弁護士紹介
弁護士 本 田 幸 則(登録番号36255)
・2005年 旧司法試験合格
・2007年 弁護士登録
弁護士になってすぐのころは、所属事務所にて、一般的な民事事件はもちろん、行政訴訟や刑事事件、企業法務まで担当しました。
独立後は、身近な問題を取り扱いたいと思い、離婚や相続などに注力しています。
ご相談においては、長期的な視野から依頼者にとって何がベストなのかを考え、交渉から裁判まであらゆる手段を視野に入れてアドバイスいたします。
弁護士 鈴 木 淳(登録番号47284)
・2006年 早稲田大学法学部卒業
・2006年 法務省入省(国家Ⅰ種法律職)
・2011年 明治大学法科大学院修了
・2011年 新司法試験合格
・2012年 弁護士登録
一般民事事件や中小企業法務を中心として、交渉から裁判まで、様々な分野の案件を担当してきました。
この度、なごみ法律事務所の理念に共感し、市民の方の生活に密着した問題や、経営者の日常的に接する問題を重点的に扱いたいと考え、執務することとなりました。
ご依頼者と同じ目線に立ちながら、最善の解決策を共に考えてゆきたいと思います。