離婚後に離婚慰謝料請求をする方法
1 離婚後に離婚慰謝料を請求できるか?
早く離婚したかったので、とりあえず離婚届を書いてもらって離婚したけれど、やっぱり慰謝料を請求したいというご相談を受けることがありますが、可能でしょうか?
まず、離婚慰謝料の法律上の位置づけですが、民法709条の不法行為責任の一種となります。
そして、不法行為責任については、損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅します(民法724条)。
逆に言えば、離婚から3年以内ならば離婚慰謝料が請求できることになります。
2 どのように請求するか?
① まずは交渉
相手が任意に支払ってくれるならば、それに超したことはありません。
ですから、どうしても相手と連絡が取りたくないというのでない限り、ご自身で又は弁護士に依頼して相手に請求してみましょう。
② だめなら裁判
では、相手が「支払わない」と言った場合にどうするかですが、その場合は裁判をすることになります。
このとき、原則として裁判をする裁判所は、離婚裁判を行う「家庭裁判所」ではなく、「地方裁判所」になります(金額によっては簡易裁判所)。
なぜなら、離婚慰謝料は、不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)なので、たとえば交通事故の損害賠償請求をする裁判所と同じ地方裁判所となるのが原則です。
例外的に、離婚の慰謝料なので、家庭裁判所に離婚訴訟を提起する場合には、セットで申立てることが出来るという扱いです。
③ 調停をすることもできます
交渉で上手くいかなかった場合は、裁判所に決めてもらうしかないので、裁判をするのが一般的ですが、裁判まではしたくないという方は、調停をするという方法もあります。
ただし、調停は、裁判所で行う話し合いですので、相手が応じなければ、それで終了します。
離婚慰謝料の調停は、上記の通り、不法行為に基づく損害賠償請求ですから、民事調停として扱われ、相手の住所を管轄する簡易裁判所に申立てることになるはずです。
しかし、実際には、家庭裁判所でも、離婚後の紛争調整調停という名目で受け付けてくれ、その手続を利用する方が多いようです。
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監修弁護士紹介
弁護士 本 田 幸 則(登録番号36255)
・2005年 旧司法試験合格
・2007年 弁護士登録
弁護士になってすぐのころは、所属事務所にて、一般的な民事事件はもちろん、行政訴訟や刑事事件、企業法務まで担当しました。
独立後は、身近な問題を取り扱いたいと思い、離婚や相続などに注力しています。
ご相談においては、長期的な視野から依頼者にとって何がベストなのかを考え、交渉から裁判まであらゆる手段を視野に入れてアドバイスいたします。
弁護士 鈴 木 淳(登録番号47284)
・2006年 早稲田大学法学部卒業
・2006年 法務省入省(国家Ⅰ種法律職)
・2011年 明治大学法科大学院修了
・2011年 新司法試験合格
・2012年 弁護士登録
一般民事事件や中小企業法務を中心として、交渉から裁判まで、様々な分野の案件を担当してきました。
この度、なごみ法律事務所の理念に共感し、市民の方の生活に密着した問題や、経営者の日常的に接する問題を重点的に扱いたいと考え、執務することとなりました。
ご依頼者と同じ目線に立ちながら、最善の解決策を共に考えてゆきたいと思います。