未婚の相手に対する養育費請求
子供ができたけれど、相手の男性とは何らかの事情で入籍しないという場合、養育費を請求することができるでしょうか?
この場合、認知をしているかどうかで養育費を請求できるかどうかが変ります。
なぜなら、養育費支払義務は、子供の親であることから発生するところ、最高裁判所は、嫡出でない子(結婚後に生まれた子以外)は、認知によって親子関係が発生するとしているからです。
ですから、認知がされていなければ、たとえ遺伝的には親子関係が認められても、法律上は親子でないことになり、養育費支払義務は発生しないことになるのです。
もっとも、相手に認知するよう求めたけれど、相手が認知に応じず、強制認知の手続をせざるを得ない場合があります。
このような場合で、強制認知が認められる可能性が高い場合には、例外的に認知が認められる前に養育費の請求を認める裁判例があります。
ただ、あくまでも例外的なケースですので、できれば何とか認知をしてもらえるようにしてください。
【裁判例】
〈東京地方裁判所昭和54年3月28日判決〉
養育費を請求された男性と子供との血縁関係について、親子である可能性があるとしながら、法律上の親子関係は認知しなければ発生しないので、認知していない現状では養育費の支払義務も発生しないとしました。
〈福岡家庭裁判所昭和40年8月6日審判〉
認知請求が一審で認められたが、男性が控訴し、控訴審が継続中のため未認知の状態にあるケースで、並行して行われている養育費請求事件の担当裁判所は、親子関係があることが確実であるとして養育費支払請求を認めました。
〈東京家庭裁判所昭和50年7月15日〉
認知請求事件と養育費請求事件が並行して行われているケースで、養育費請求事件の担当裁判所は、認知請求事件の判断を待たずに、独自に家庭裁判所調査官の報告書等から、男性と母親の内縁関係を認め、子供の父親は男性であることは確実であるとして養育費の請求を認めました。
【関連コラム】
*養育費の計算
*養育費を一括で支払うよう請求できるか
*コラム目次ー男女問題を争点ごとに詳しく解説-
監修弁護士紹介
弁護士 本 田 幸 則(登録番号36255)
・2005年 旧司法試験合格
・2007年 弁護士登録
弁護士になってすぐのころは、所属事務所にて、一般的な民事事件はもちろん、行政訴訟や刑事事件、企業法務まで担当しました。
独立後は、身近な問題を取り扱いたいと思い、離婚や相続などに注力しています。
ご相談においては、長期的な視野から依頼者にとって何がベストなのかを考え、交渉から裁判まであらゆる手段を視野に入れてアドバイスいたします。
弁護士 鈴 木 淳(登録番号47284)
・2006年 早稲田大学法学部卒業
・2006年 法務省入省(国家Ⅰ種法律職)
・2011年 明治大学法科大学院修了
・2011年 新司法試験合格
・2012年 弁護士登録
一般民事事件や中小企業法務を中心として、交渉から裁判まで、様々な分野の案件を担当してきました。
この度、なごみ法律事務所の理念に共感し、市民の方の生活に密着した問題や、経営者の日常的に接する問題を重点的に扱いたいと考え、執務することとなりました。
ご依頼者と同じ目線に立ちながら、最善の解決策を共に考えてゆきたいと思います。