養育費の支払と面会交流の関係
1 面会させてくれないなら養育費を支払わない?
ときどき、「面会させてくれないなら養育費を支払わない!」と主張する方がいらっしゃいます。
しかし、養育費は、親として子供の生活費を負担する義務であって、面会交流の対価ではないため、このような主張は認められません。
このような主張を続けても、審判や裁判で裁判所が養育費を決め、それでも支払わなければ、給料や預貯金などが差し押さえられることになります。
なによりも、実際に子供を育てている相手と敵対してしまったら、余計に面会が困難になります。
では、「子供を引き取った方の言いなりか?」と思うかもしれません。
法的にはそうではありませんし、実際にも言いなりにまでなる必要はありません。
しかし、子供を引き取ったほうが主導権を握っているのは間違いありません。
2 養育費を支払わないなら面会させない?
では逆に、「養育費を支払わないなら面会させない!」という主張はどうでしょうか?
こちらも、養育費と面会交流は、全く性質の異なるものですから、裁判所は、養育費を支払わないことだけを理由に面会させないという判断をすることはありません。
もっとも、収入があるにもかかわらず養育費を支払わないというのは、親として義務を果たさない人物という評価を受けることになるため、悪印象であることは間違いありません。
学説の中には、合理的理由もないのに養育費を支払わずに面会交流を認めることは権利の濫用であり、子供の福祉にも反するとして面会交流は認められるべきではないというものもあります。
ですから、裁判所が、他の事情などとあわせて、面会交流を認めるのは不適切と考えることもあり得ます。
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監修弁護士紹介
弁護士 本 田 幸 則(登録番号36255)
・2005年 旧司法試験合格
・2007年 弁護士登録
弁護士になってすぐのころは、所属事務所にて、一般的な民事事件はもちろん、行政訴訟や刑事事件、企業法務まで担当しました。
独立後は、身近な問題を取り扱いたいと思い、離婚や相続などに注力しています。
ご相談においては、長期的な視野から依頼者にとって何がベストなのかを考え、交渉から裁判まであらゆる手段を視野に入れてアドバイスいたします。
弁護士 鈴 木 淳(登録番号47284)
・2006年 早稲田大学法学部卒業
・2006年 法務省入省(国家Ⅰ種法律職)
・2011年 明治大学法科大学院修了
・2011年 新司法試験合格
・2012年 弁護士登録
一般民事事件や中小企業法務を中心として、交渉から裁判まで、様々な分野の案件を担当してきました。
この度、なごみ法律事務所の理念に共感し、市民の方の生活に密着した問題や、経営者の日常的に接する問題を重点的に扱いたいと考え、執務することとなりました。
ご依頼者と同じ目線に立ちながら、最善の解決策を共に考えてゆきたいと思います。