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長期間の別居を理由とする離婚

浮気や暴力など明確な離婚理由があれば、それを主張すればよいのですが、性格の不一致などの理由で別居に至った場合や浮気や暴力が原因だけれども証拠がないような場合は、長期間の別居を理由に離婚を請求することになります。

では、どの程度の期間別居をしていれば、離婚が認められるかですが、口頭弁論終結時(判決のひとつ前の期日)で、おおよそ3年程度の別居があれば、原則として離婚が認められます。

《2025年加筆》
本コラムを最初に執筆した2015年当時は、下記抹消部分のとおり、別居5年程度が法律上の離婚が認められるか否かの基準でしたが、2024年10月に東京家裁の裁判官が公表した論文(片岡兼一「離婚訴訟の審理モデル感」)によれば、「その後の社会的な価値観の変化に伴い、全国的にみて、破綻を事実上推定させる別居期間の長さについては短くなっており、東京家裁家事6部では、別居期間が3年を超える場合、特段の事情がない限り、別居期間それ自体から婚姻関係の破綻を推定させており、更に言及すれば、財産分与の申立てがある離婚事件においては、財産分与の申立て時点において別居期間が1年半を経過していれば、財産分与に係る審理に伴う別居期間の長期化を考慮し、離婚請求を容認することを見越して財産分与の審理が行われているのが実情であると思われる。」とのことです。

そうすると、現在の東京家庭裁判所では、調停も長期化傾向にあり1年から1年半程度かかるので、財産分与がある離婚問題では、「離婚理由がないから離婚しない」という主張が認められることが事実上ほとんどない、つまり、有責配偶者でなければ、別居さえしてしまえば、早期に離婚できるということになりそうです。

もちろん、別居に至る事情や、別居後の態度次第では、離婚請求側の悪質性が高いとされ、3年の別居では離婚できないケースもあります。

明確な基準はありません。

同居期間と別居期間との対比、別居に至る経緯などを総合して、婚姻関係が破綻(はたん)しているといえるほど長期の別居かどうか判断されます。

裁判例をみると、5年程度の別居期間から離婚を認めているものが多くなっていますが、婚姻期間が短いような場合に3年程度で離婚を認めているものもあります。

平成8年の民法改正案では、5年間の合理的理由のない別居が離婚理由となっていましたが、別居にいたる事情は様々であり、画一的に5年とするのは問題があるという理由で改正には至りませんでした。

しかし、民法改正案には多くの法律家が関わっていることから、多くの法律家は5年程度を一応の目安と考えているのではないかと思います。

また、先日、東京家庭裁判所の裁判官と話す機会がありましたが、その裁判官によれば、5年くらい別居していると一般的には長期間とえいるかな、別居期間が3年を超える場合は他の事情も考慮して離婚を認めることもあるかな、という感じだとおっしゃっていました。

以上は、どちらか一方に離婚原因となるような事情があるわけではないのに別居に至った場合ですので、たとえば浮気して出て行った方が長期間の別居を理由に離婚請求する場合には、5年程度の別居では離婚が認められないのが一般的です。

《2023.9加筆》

最近、5年より若干短めの別居で離婚が認められているように感じます(感覚的なものです)。

5年より短い期間での離婚を認める裁判例では、「関係修復のために何かした形跡がない」と判決文で指摘があったり、和解期日で同様の指摘を多く受けるようになりました。

今後は、離婚したくないという主張をする場合には、単に離婚理由がないという主張だけでは足りず、たとえ無駄だと分かっていても円満調停を申立てる等の目に見える形での関係修復の試みをしておくことが必要になりそうです。

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