面会交流の具体的内容
調停や審判などで面会交流(面接交渉)の取り決めをする場合、子供の健全な成長の観点から柔軟に決められますが、具体的には以下のようなパターンに分けられます。
1 面会交流がスムーズに実施できそうな場合
結婚生活を続けていくことは無理だけれど、夫婦関係がそれほどこじれていないような場合には、子供の成長に合わせて柔軟に対応できるように、「面会交流を認める」という条項だけにしたり、面会交流の頻度(月1回など)のみを取り決めるといったことが行われます。
以後は、当事者間で連絡を取り合い、具体的に面会交流をする日や方法を決めることになります。
調停時には、細かく決めなくても上手くいくと思っていたのに、その後トラブルになってしまった場合には、再度調停をしなければならないという欠点があります。
2 面会交流で揉める可能性がある場合
夫婦関係が相当こじれており、面会交流について当事者に任せるのは不安がある場合は、面会交流の日時、面会の時間、場所などを具体的に決めておくことになります。
具体的な内容は、子供の年齢、通園・通学への影響、両親の生活状況、地理的な問題などを考慮して決めることになりますが、裁判所が判断する場合は、月に1回程度となるケースが多いようです。
なお、子供を養育している方の親(監護親といいます)が、面会交流に消極的な場合、将来的に間接強制ができるような条項にしておく必要が出てきます。
間接強制とは、監護親が面会交流を拒否した場合に、裁判所が、面会交流を実施するまでお金を支払を命じて、面会交流を実施するようにプレッシャーをかけることです。
最高裁判所は、平成25年3月28日第一小法定決定で、間接強制をするためには、
①面会交流の日時又は頻度
②各回の面会交流時間の長さ
③子の引渡し方法
の3つの点が特定されていることが必要としています。
3 直接の面会交流が困難な場合
⑴ 第三者機関の利用
子供との面会交流自体には問題がないけれども、監護親が非監護親にどうしても会いたくない場合、面会交流をサポートするNPOなどの第三者機関を利用した面会交流となることがあります。
この場合、大きく分けて、第三者機関が子供の授受をサポートするものと、第三者機関の職員が面会交流に立ち会うものがあります。
第三者機関がどのように関与するかは、具体的事情に応じて決めることになります。
なお、子供の面会交流をサポートする機関はいくつかあるので、インターネットで「面会交流 サポート」などで検索してください。
⑵ 間接交流
間接交流とは、電話や手紙、メール、写真、プレゼントの授受などの方法で子供とコミュニケーションを取る方法です。
乳幼児で、監護親の面会交流への拒否反応が強い場合や、過去にDVがあったなど、直接の面会交流が困難な場合に利用されます。
また、非監護親が遠隔地に住む場合などは、直接の面会交流と併用して利用されることもあります。
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監修弁護士紹介
弁護士 本 田 幸 則(登録番号36255)
・2005年 旧司法試験合格
・2007年 弁護士登録
弁護士になってすぐのころは、所属事務所にて、一般的な民事事件はもちろん、行政訴訟や刑事事件、企業法務まで担当しました。
独立後は、身近な問題を取り扱いたいと思い、離婚や相続などに注力しています。
ご相談においては、長期的な視野から依頼者にとって何がベストなのかを考え、交渉から裁判まであらゆる手段を視野に入れてアドバイスいたします。
弁護士 鈴 木 淳(登録番号47284)
・2006年 早稲田大学法学部卒業
・2006年 法務省入省(国家Ⅰ種法律職)
・2011年 明治大学法科大学院修了
・2011年 新司法試験合格
・2012年 弁護士登録
一般民事事件や中小企業法務を中心として、交渉から裁判まで、様々な分野の案件を担当してきました。
この度、なごみ法律事務所の理念に共感し、市民の方の生活に密着した問題や、経営者の日常的に接する問題を重点的に扱いたいと考え、執務することとなりました。
ご依頼者と同じ目線に立ちながら、最善の解決策を共に考えてゆきたいと思います。