ICレコーダーは証拠になるか
前回、相手に無断で録音しても原則として違法にならないという話をしましたが、
「ICレコーダーは、編集できるから証拠にならないと聞きました」という質問も多くあります。
ICレコーダーでの録音も証拠になります。
確かに、ICレコーダーは、テープレコーダーに比べれば、編集がしやすく、編集の痕跡が残りにくい技術です。
しかし、編集される可能性があるからといって、一律に証拠として認められる可能性がなくなるわけではありません。
証拠が偽造されたりする可能性だけならば、印鑑だって偽造は可能です。
DNA鑑定ですら、試験片のすり替えや、鑑定書の書き換えが可能です。
裁判になる前ではありますが、ゆうちょ銀行の通帳を偽造した人もいました(といってもカラーコピーですぐばれました)。
このように、一般的には証拠として認められているものも偽造が可能です。
ですから、偽造できるかどうかと、証拠として認められるかは直接関係ありません。
重要なのは、偽造されたかどうかです。
ICレコーダーでの録音の場合、編集は不可能ではありませんが、
・当事者が編集する技術と知識を持っていたか
・技術や知識があったとして編集する機会があったか
・編集したと主張する側の主張する会話が挿入されていても前後のつじつまが合うか
などの事情を総合して証拠としての有効性が判断されます。
ですから、ICレコーダーだから、即「証拠にならない」とはなりません。
むしろ、裁判の現場では、テープレコーダーよりもICレコーダーが証拠として提出されることが多くなっています。
それでも不安だという方は、テープレコーダーで録音してください。
ICレコーダーよりも、痕跡を残さず編集することが困難だからです。
なお、録音するときは、余裕があれば、鮮明に録音できるか事前にチェックしてください。
残念なことに、せっかく録音しているのに、聞き取り不可能で証拠とならないことがあるからです。
また、携帯電話で録音しても良いかという質問を受けることもあります。
緊急の場合はやむを得ませんが、できればICレコーダーを用意してください。
録音性能の違いと、マイクの位置がポケットに入れたままだと音を拾いにくい位置になること、途中で着信があったときに困るからです
監修弁護士紹介
弁護士 本 田 幸 則(登録番号36255)
・2005年 旧司法試験合格
・2007年 弁護士登録
弁護士になってすぐのころは、所属事務所にて、一般的な民事事件はもちろん、行政訴訟や刑事事件、企業法務まで担当しました。
独立後は、身近な問題を取り扱いたいと思い、離婚や相続などに注力しています。
ご相談においては、長期的な視野から依頼者にとって何がベストなのかを考え、交渉から裁判まであらゆる手段を視野に入れてアドバイスいたします。
弁護士 鈴 木 淳(登録番号47284)
・2006年 早稲田大学法学部卒業
・2006年 法務省入省(国家Ⅰ種法律職)
・2011年 明治大学法科大学院修了
・2011年 新司法試験合格
・2012年 弁護士登録
一般民事事件や中小企業法務を中心として、交渉から裁判まで、様々な分野の案件を担当してきました。
この度、なごみ法律事務所の理念に共感し、市民の方の生活に密着した問題や、経営者の日常的に接する問題を重点的に扱いたいと考え、執務することとなりました。
ご依頼者と同じ目線に立ちながら、最善の解決策を共に考えてゆきたいと思います。