離婚を弁護士に相談するときに準備しておくといいこと
相談にいらっしゃる方に「何か準備するものがありますか?」と聞かれると、「証拠になりそうなものと、収入が分かる資料があればお持ちください」と答えます。
あれもこれもと準備するものが多すぎると、その準備に手間暇がかかり、相談自体のハードルが上がってしまうので、証拠さえあれば、あとは相談時に聞けばいいと思っているのですが、でも、もし準備できるなら持ってきてもらえるとありがたいものがいくつかあります。
① 時系列表
・●●年●月●日 結婚
・●●年●月ころ 夫の帰りが遅い日が続く
・●●年●月●日 夫のLINEに浮気相手と写真を発見
といった感じの、いつ、だれが、どうした、を簡単に記載した時系列表を作っていただけると、おおよその流れが分かりますし、聞きもらしがなくなるのでありがたいです。
時系列表を作るときは、完璧でなくてもかまいません。
あくまでも相談時に分かりやすいように用意するものですから、おおよその流れと重要な出来事が書いてあれば大丈夫です。
逆に、詳しすぎる、とくにその時の気持ちなどが書いてあると、読むだけで時間がかかるので、かえって相談しづらいということもあります。
② 収入が分かる資料の収集
多くの方が婚姻費用や養育費を請求する、あるいは、請求されることになりますが、その基準となるのが双方の収入です。
会社員や公務員の場合には、年末に源泉徴収票が貰えるはずですので、コピーしたり写真を撮っておいてください。
個人事業主などの場合には、確定申告書をコピーするか写真を撮っておいてください。
これらのものが準備できない場合には、市区町村役場で課税証明書を取っておいてください(自治体によっては委任状がないと取れません)。
もちろん、収入が分からないことがご相談内容という方もいらっしゃるでしょうから、無理をする必要はありません。
収入が分からない場合は、それに応じたアドバイスを差し上げます。
③ 財産関係の整理
多くの場合は、財産分与を請求することになるので、メモ程度で構わないので、どんな財産があるか整理しておいてください。
特に自宅購入に当たり、両親の援助があったというような場合には、いくらが援助でいくらが自己資金なのかなどについて分かっていると具体的なアドバイスができます。
④ 証拠の整理
離婚理由や慰謝料の証拠については、素人判断をせず、関係しそうなものは一通り持ってきてください。
そのうえで、ご相談内容をうかがいながら、「この点が分かるものありますか?」と質問しますので、証拠を見せてください。
そのとき、全く証拠が整理されていないため、どれがどの証拠かすぐに分からず、さがすのに時間がかかる方がいらっしゃいます。
せっかくの相談時間ですから、証拠がさっと取り出せるよう準備しておきましょう。
そうはいっても、それほど細かく整理しておく必要はありません。
たとえば、相手の浮気の証拠があるとすれば、クリアファイルにまとめておいて、付箋で「浮気の証拠①」と書いておく程度で大丈夫です。
最近は、LINEのやり取りを証拠として持っていらっしゃる方が多いのですが、相談中に大量のLINEを確認するのは無理ですから、該当しそうなものをメモしておいたり、プリントアウトしておくなど、相談中にすぐに出せるようにしておいてください。
なお、相手のLINEを証拠として残す時は、慎重に吟味する時間はないでしょうから、とりあえず全て保存しておいてください。
また、音声データを持っていらっしゃる方もおられますが、こちらもよほど短い録音でない限りは、相談時間中に全ての録音を聞くのは無理ですので、証拠になりそうな部分が何分何秒のあたりかをメモしておいていただけると、ご相談がスムーズです。
⑤ メモ帳と筆記具
ご相談時には、追加で用意していただきたいものなどをお話することがあります。
また、ご自身が依頼するかどうかなどの決断の際に、弁護士が話した内容が重要になることがあります。
そのために、メモ帳と筆記具は用意してください。
なお、メモ代わりにと録音するのはご容赦ください。
録音されてしまうと本音で話しづらくなってしまうので、当事務所だけでなく、多くの弁護士が相談内容を録音しないよう求めていると思います。
⑥ ハンコ(印鑑・印章)は必須ではありません
弁護士に相談したからといって契約する義務はないので、初回ご相談時にハンコは必要ありません。
ただ、緊急性を要する場合や、「この人に任せて間違いない」という場合は、その場で契約となるのでハンコが必要となります。
なお、裁判所提出用の委任状は、シャチハタは認めていませんので、朱肉をつけるタイプのハンコをお持ちください。
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監修弁護士紹介
弁護士 本 田 幸 則(登録番号36255)
・2005年 旧司法試験合格
・2007年 弁護士登録
弁護士になってすぐのころは、所属事務所にて、一般的な民事事件はもちろん、行政訴訟や刑事事件、企業法務まで担当しました。
独立後は、身近な問題を取り扱いたいと思い、離婚や相続などに注力しています。
ご相談においては、長期的な視野から依頼者にとって何がベストなのかを考え、交渉から裁判まであらゆる手段を視野に入れてアドバイスいたします。
弁護士 鈴 木 淳(登録番号47284)
・2006年 早稲田大学法学部卒業
・2006年 法務省入省(国家Ⅰ種法律職)
・2011年 明治大学法科大学院修了
・2011年 新司法試験合格
・2012年 弁護士登録
一般民事事件や中小企業法務を中心として、交渉から裁判まで、様々な分野の案件を担当してきました。
この度、なごみ法律事務所の理念に共感し、市民の方の生活に密着した問題や、経営者の日常的に接する問題を重点的に扱いたいと考え、執務することとなりました。
ご依頼者と同じ目線に立ちながら、最善の解決策を共に考えてゆきたいと思います。