離婚は弁護士?行政書士?司法書士?

2016-01-29

離婚問題について行政書士から通知が届いたという相談を受けることがあります。
なかには、「今後は相手とは自分(行政書士)を通じて連絡するように」と書いてあるものもありました。
また、離婚相談を受け付けている司法書士さんもいます。
行政書士、司法書士、弁護士、いったい誰に相談するのが良いか分からない場合は、以下を参考にしてみてください。

 

1 行政書士ができること、できないこと

① 行政書士にできること

 

行政書士も権利義務関係に関する書類を作成する権限があるため、主張を法的観点から整理した書類を作成することは可能です。
また、双方が離婚に同意している場合に、その同意に基づいて離婚協議書を作ることもできます。

 

② 代理人として交渉することはできません

 

紛争案件を扱うことは行政書士には認められていません。
つまり、離婚についての交渉はできないのです。
ですから、冒頭に書いたような「今後は自分(行政書士)に連絡するように」などというのは違法な行為であり、応じる必要はありません。

 

③ 離婚に関する法律相談もできません

 

広島高等裁判所松江支部平成25年5月29日判決は、行政書士が依頼を受けた内容証明を作成するのに付随して行った助言行為を「法律的知見などに基づいて主体的に女性を指導しており、行政書士に許される書類作成のための相談業務の範囲を大きく逸脱している」として、違法と判断しています。
要するに、行政書士は離婚問題について、「あなたの言っていることは法律的には●●というものになります」と言うことはできますが、それ以上に積極的に指導することができないため、実質的には相談にのれないことになります。

 

2 司法書士にできること、できないこと

① 司法書士にできること

 

司法書士は、権利義務に関する書類の作成、裁判所への提出書類の作成、登記業務、140万円以下の紛争案件について取り扱うことができます。
とくに登記業務については、司法書士が専門とする分野です。

 

裁判所への提出書類の作成ができるため、調停関係の書類作成を行うことを宣伝文句にしている司法書士さんもいるようです。
しかし、司法書士は代理人として出席できないため、裁判所から何を求められているかは依頼者からの又聞きでしか確認できません。また、作成した書類が裁判所にどのような影響を与えたかを確認することもできないということになります。
このことを考えると、私は、調停関係の書類を司法書士に依頼することはお勧めしません。

 

② 司法書士にできないこと

 

140万円を超える紛争案件は、司法書士は取り扱うことはできません。

 

このことから、争いがある場合に司法書士に依頼してしまうと、依頼を受けた司法書士は、総額140万円以下で処理しようとし、本来なら、もっともらえるはずのものがもらえないという結果になりかねません。

 

3 弁護士にできること、できないこと

弁護士は、離婚について検討中の方への法的アドバイス、協議離婚の交渉、離婚調停の代理、離婚裁判の代理など、基本的には法律問題に関しては何でもできます。
もっとも、登記手続に関しては、法律上認められているという程度で、ほとんどの弁護士は行っておらず、知識もないため司法書士さんにお願いすることになります。

 

4 料金の違いは?

料金は、いずれの資格でも事務所ごとに料金体系が異なるため、行政書士は安く、弁護士は高い、司法書士はその中間ということはありません。
実際、かなり高額の報酬を取っている行政書士や司法書士もいます。
なごみ法律事務所の場合は、こちらの料金一覧でご確認いただくか、お電話等でお問い合わせください。

 

5 各専門家の使い分け

各資格ごとの違いからすれば、次のように使い分けるのが良いのではないかと思います。

 

・離婚について合意ができていて、登記移転手続が必要なものがない場合は、行政書士、司法書士、弁護士のいずれに書類作成を依頼しても大きな違いはありません。料金や交通の便で決めても良いでしょう。
なお、誰にも相談せずに、ご自身で公正証書役場に予約をして公正証書を作る方がいらっしゃいますが、お勧めしません。
なぜなら、公正証書を作ってくれる公証人さんの前職が、元検察官という場合が多いからです。
元検察官ですから、民事的な問題に関して知識や経験が少なく、せっかく公正証書を作ったのに、あとでトラブルになるというケースが時々あります。
ですから、依頼まではしなくても、弁護士等に一度は相談することをお勧めします。

 

・離婚について合意ができていて、その中に、登記移転手続が必要な財産がある場合は、司法書士に依頼したほうが良いでしょう。

 

・離婚に向けての相談や、実際に争いになっている場合には弁護士に依頼した方が良いでしょう。ただし、登記移転手続が必要な財産がある場合には、別途司法書士にも依頼する必要があります。

 

なお、多額の財産の移動がある場合には、念のため税理士さんにも相談しておくことをお勧めします。

 

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*参考条文
弁護士法72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない
同法77条
違反すれば、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する

 

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