不貞慰謝料の支払いと求償権

2018-11-01

相手の浮気(不貞、不倫)が原因で慰謝料を請求する場合、浮気をした夫(妻)と浮気相手は不真正連帯債務の関係になります(民法719条1項)。

 

不真正連帯債務とは、要するに2人で一つの損害賠償を支払う義務を負うということです。

 

2人で一つの損害賠償を支払う義務を負うのですから、もし1人が全額支払った場合には、もう一人に、その責任に応じた支払を求めることができます。

これを求償権(きゅうしょうけん)といいます(民法442条1項)。

ただし、求償できるのは、自分の負担部分を超えた部分のみとなります。

 

具体例で考えてみましょう。

夫をA、妻をB、妻の不倫相手をCとします。

BとCが不倫関係に至ったのは、とくにどちらか一方の強引な誘いとは認定できないので、50%ずつの責任であるとします。

 

このケースで、AがCに損害賠償(不貞慰謝料)を請求し、損害額が200万円という判決が出たとします。

そして、CがAに200万円の支払いをすると、Cは、その責任割合、すなわち、半額の100万円をBに請求することができます。

しかし、たとえばC100万円しか支払わなかったような場合には、Bに半額の50万円を請求することはできませんし、残りはBが支払うべきという主張もとおりません。

 

問題は、多く支払った場合です。

慰謝料は、お金の貸し借りと違って、明確な金額は判決が出るまで分かりません。

しかし、裁判はしたくないので、500万円を支払ったとします。

この場合、250万円を請求できるかというと、相手が拒否した場合には裁判をして適正金額が決まるまで請求はできないことになります。

 

求償問題で、もう一つ問題になるのは、BがAに200万円支払って、Cに求償しようとしたところ、CもAに200万円支払っていたというケースです。

 

このような場合については、民法443条に規定があります。

同条は、事前に連絡せずに支払ったときに、求償相手も払っていた場合には、求償することはできないと定めています。

 

上記のケースだと、Cに連絡をせずに支払ったBは、Cから「私も支払ったんだから、支払う義務はない」といわれた場合には、Cには半額負担を求めることはできなくなるということです。

もちろん、CもBに連絡をしていないので、Bに対し半額負担を求めることはできません。

 

なお、CがBに連絡なく支払った場合でも、Bがまだ支払っていない場合には、Bに対し求償できます。

 

こういう処理だとAが本来もらえる金額より多くもらえて、おかしいのではないかと思うかもしれません。

この問題については、理論上、CがAに対して、「支払いすぎたから返せ」ということができます(不当利得返還請求)。

もっとも、不倫慰謝料を支払いすぎたので返せという訴訟をする人はいないようで、裁判例は見つけられませんでした。

 

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弁護士 本 田 幸 則
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