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離婚の交渉・調停・裁判をする場合、相手にも主張があるので、交渉などの過程で何かをあきらめないといけない可能性があります。
そんなときに、何を優先するかを考えておく必要があります。
ところが、そのような優先順位を意識することなく交渉などを行う方がいます。
それはご本人に限らず、弁護士でも同じです。
たとえば、こんなことがありました。
相手は、子供の親権をとりたい、最低でも定期的に面会をしたいと主張しています(現時点で子供はこちら側と同居)。
こちらは、親権を主張し、面会は子供達の意思に任せると主張しました。
同時に、離婚が成立するまでの婚姻費用の支払いを請求しました。
こちらの婚姻費用の請求の中には、子供の進学塾の費用を上乗せして請求していました。
相手は、塾代を支払わないと主張してきました。
たしかに、裁判例では、婚姻費用に塾代を上乗せするのは例外的で、原則としては認められません。
そんなことを争っている間に、こちらの依頼者は経済的に困窮し、子供に塾をやめてもらうことになりました。
その結果、裁判所は塾に通っていないんだから塾代を上乗せするのは無理だとの判断を示しました。
その後、継続している離婚と面会交流の調停で、相手は子供との面会を主張し、法律上子供に会う権利があると主張します。
しかし、子供は「塾をやめさせられたのに、なんで会わないといけないの!」となります。
当然でしょう。
子供のことは建前として争っているだけで、金銭的な負担が減ればそれで良いというなら別ですが、子供と良好な関係を維持したいなら、金銭的にはある程度妥協した方が良かった案件です。
こんなことをいうと、「子供を人質に取るのか?」と言われそうですが、それが現実です。
上記と立場が逆のご依頼を受けることもありますが、その場合は、ご依頼者に金銭的な主張を強行した場合のリスクを説明し、その上で法律や裁判例にしたがった主張をすることもあれば、子供との良好な関係を優先し、相場よりも不利な条件で和解することもあります。
理論的には、上記のように子供との関係を良好に保ちたいから、相手の主張に譲歩せざるを得ないというのはおかしなことですが、現実は理不尽なものです。
ですから、離婚の交渉・調停・裁判をするときは、何を優先したいのか、それを実現するためには他の部分でどこまで譲歩できるのかを考えておく必要があります。
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