子供が両親の間を行き来している場合の婚姻費用
婚姻費用の内容は、子供と相手方配偶者の生活費ですが、子供が両親の間を行き来しており、どちらか一方がずっと養育しているとはいえない場合は、婚姻費用算定表(または標準算定式)の金額を基準に、一定額が減額されることがあります。
たとえば、広島高等裁判所岡山支部平成23年2月10日判決では、平日は母親の下で生活しているが、金曜日の夕方から日曜の夕方までは父親の下で生活しているという事案について、養育費算定表の金額は5万円だけれども、週末の分は差引いて4万5000円とするのが適当としています。
ここで問題となるのが、別居中に面会の取り決めをして、子供を相手に預けたところ、相手が子供を帰さなくなったという場合です。
この場合には、子供の生活費相当額の婚姻費用は発生していないので、相手が、「その金額について支払をしない」と言えば主張が通りそうにも思います。
しかし、東京高等裁判所平成24年12月28日決定は、約束に反して子供を帰さなかった者が、婚姻費用の減額を主張することは、信義誠実の原則(民法1条2項)に反し許されないとしています。
この裁判例がどの程度一般化できるかは議論の余地がありますが、当初の約束に反して子供を帰さなかったり、子供を連れ去ったりした者が、婚姻費用を減額するよう主張しても認められないと考えておいて良いでしょう。
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監修弁護士紹介
弁護士 本 田 幸 則(登録番号36255)
・2005年 旧司法試験合格
・2007年 弁護士登録
弁護士になってすぐのころは、所属事務所にて、一般的な民事事件はもちろん、行政訴訟や刑事事件、企業法務まで担当しました。
独立後は、身近な問題を取り扱いたいと思い、離婚や相続などに注力しています。
ご相談においては、長期的な視野から依頼者にとって何がベストなのかを考え、交渉から裁判まであらゆる手段を視野に入れてアドバイスいたします。
弁護士 鈴 木 淳(登録番号47284)
・2006年 早稲田大学法学部卒業
・2006年 法務省入省(国家Ⅰ種法律職)
・2011年 明治大学法科大学院修了
・2011年 新司法試験合格
・2012年 弁護士登録
一般民事事件や中小企業法務を中心として、交渉から裁判まで、様々な分野の案件を担当してきました。
この度、なごみ法律事務所の理念に共感し、市民の方の生活に密着した問題や、経営者の日常的に接する問題を重点的に扱いたいと考え、執務することとなりました。
ご依頼者と同じ目線に立ちながら、最善の解決策を共に考えてゆきたいと思います。