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離婚の際によく問題になるのが、養育費をいつまで支払うかということです。
この点について、養育費は、子供が未成熟子である間は支払う義務があることになります。
注意すべきは、「未成熟子」であって、「未成年」ではないことです。
では、未成熟子とは何歳までかですが、未成熟子とは、身体的・精神的・経済的に成熟の過程にあるため、就労が期待できず、第三者による扶養を受ける必要がある子をいうとされており、「●歳」と明確に決まっているわけではありません。
おおざっぱにいえば、自分で生活費を稼げるようになるまでと考えて良いでしょう。
ですから、高校を卒業後、就職し、ある程度の収入を得ている場合には、高校卒業後は未成熟子ではないことになります。
他方で、大学に進学した場合には、まだ十分な収入を得られる状態にないということで未成熟子とされる可能性があります。
未成熟子の定義は上記の通りですが、実際の裁判では、子供が小さい場合には20歳までとされることが大半です。
なぜなら、子供が小さい場合には、将来について予測できないため、一応成人した時点を基準とせざるを得ないからです。
なお、古い裁判例や書籍では18歳まで(もっと古いと15歳まで)としているものもありますが、それは高校卒業後は就職するのが一般的だった時代の基準で、現在では18歳とされることはないでしょう。
なお、子供が18歳前後で、進路が決まっているような場合には、そのことを前提として判断がされます。
離婚時に20歳までと決めても、その後の事情の変更がある場合には、養育費に関する取り決めの変更も認められます(民法880条)。
ですから、離婚時には養育費について20歳まで支払うと決めたのに、子供が高校卒業後に就職したような場合には、高校卒業後は未成熟子ではなくなったので支払わないという主張が認められるのが原則です。
もっとも、養育費について公正証書を作成していたり、調停や裁判で決まった場合には、勝手に支払を止めると、給料や預貯金を差し押さえられる可能性があるため、再度の話合いや調停をした方が良いでしょう。
子供が大学進学を考えている高校生の場合や、現に大学に通っているような場合には、子供の大学進学が両親の学歴や収入等から考えて相当と考えられる場合に、養育費の支払は大学卒業までとされます。
近年では、現に大学に通っている場合には、ほとんどの場合に大学卒業までの養育費が認められています。
離婚時には養育費を20歳までと決めていたけれども、その後に大学進学が決まったような場合にも、事情の変更があるとして、養育費に関する取り決めの変更が認められることがあります(民法880条)。
ただ、裁判例の中には、大学生でも20歳を超えている場合には、アルバイト収入などを考慮して、養育費を減額しているものがあります。
逆に、多額の費用がかかるような進学先(医学部など)で、支払義務者に十分な経済力がある場合には、裁判所が公表している養育費算定表の金額より多くの金額を支払うように命じている裁判例もあります。
なお、子供が浪人した場合はどうなるかですが、1浪であれば、大学卒業までの養育費の支払を認めている裁判例が多いようです。
2浪になると裁判例によって結論が別れています。
大学院に進学した場合はどうでしょうか?
大学院に進学した場合についての裁判例は、当職の知る限りありませんが、当事務所で取り扱った案件何件かで、裁判官から認めないと言われているので、原則は無理と考えておいた方が良いでしょう。
養育費は、未成熟子、つまり、十分な収入が得られるようになるまで認められるものですから、大学への進学等ではなく、障害により十分な収入が得られないような場合にも、養育費の支払が20歳よりあとまで認められることがあります。
その際に、障害者年金の給付があるような場合には、その給付金も考慮されます。
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