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時効前だからといって必ず請求が認められるわけではありません

何かの請求権があっても、それが請求出来なくなる消滅時効という制度があることは、よく知られています。

しかし、知られているがために、「時効前だから大丈夫でしょ」とのんきに構えているうちに請求が認められなくなることがあります

時効とは別にそのような制度があるというわけではありません。

事実認定で不利になることがあるということです。

たとえば、配偶者が浮気をしたけれど夫婦としてやり直すことを選択し、そのときは慰謝料を請求しなかったとします。

ここで配偶者に対する不貞慰謝料の請求権の消滅時効は、民法159条で「夫婦の一方が他の一方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から6箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない」とされています。

そうすると、不貞行為から、3年たとうが20年たとうが、離婚しない限り配偶者への不貞慰謝料請求権は時効消滅しないということになります。

では、不貞行為から20年後に夫婦関係が悪化し、20年前の不貞慰謝料を請求しようと考えて裁判をした場合に認められるかというと、おそらく認められないでしょう。

なぜなら、不貞行為から20年もの間、大きなトラブルもなく夫婦関係を維持してきたという事情から、20年前の不貞行為は宥恕(ゆうじょ)された(許した)と判断される可能性が高いからです。

このように、相手に請求しようとする内容によっては、消滅時効になる前に権利を失ってしまうことがあるので、時効になっていないから大丈夫とのんきに構えず、権利を主張しておくことが重要です。

 

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